編集長のズボラ料理(826) スダチうどん
徳島の友人が、秋になるとスダチを送ってくれる。徳島はスダチの産地で、彼の家にもスダチの木がある。
スダチ農家ではないから、不揃いのスダチ。ところが5年ほど前から、粒がそろっていて、、きちんとした包装の箱入りのスダチに変わった。自宅の木が弱ってきて、実がほとんど採れなくなったという。それなら無理をする必要はないのに、わざわざ買って送ってくれる。律儀な友人である。
僕が徳島勤務時代に彼と知り合ったので、40年来の友人ということになる。僕が大阪勤務になってからは、毎年5月のゴールデンウイークで顔を合わせた。仲間で中之島まつりにテントを出し、徳島の鳴門ワカメを売っていた。
正確に書くと、まじめなメンバーはワカメを売り、その友人や僕はテントで酒を飲んでいた。それぞれ役割があり、友人はおでんを作り、僕は551の豚まんを買って行く。僕が行くと、仲間は「豚まんが来た」と歓迎してくれた。これも正確に書くと、僕ではなく、豚まんを歓迎してくれた。
その集まりも、数年前に途絶えてしまった。テントを持っているメンバーが亡くなったからだ。それだけ、年月が流れたということで、友人の家のスダチの木が老いて弱るのも、当たり前のことだ。
スダチのお礼は、奈良市の山崎屋の刻み奈良漬けに決めている。自宅が奈良市まで100メートルほどの京都府側に住んでいるのが1つの理由。もう1つ理由がある。自宅から歩いて2分のイオンモールに奈良土産コーナーがあり、そこにも置いていて手軽だからだ。
さらに正確に書くと、山崎屋の店よりも、イオンの方がなぜか少しだけ安かったのが最大の理由だった。それに気づいたのか、イオンは数年前から山崎屋と同じ値段にしてしまった。これも長い年月が流れたからだろ。
でも、まだイオンには特典がある。「20日、30日、5%オフ」がきく。だから、この日に買って送ることにしている。
スダチが届いた。冷凍うどんもある。そこで、スダチうどん。ズボラ料理らしい安直な料理。
鍋に強いだしをとる。味つけは砂糖、みりんと、色がつかないように白だし。できたら冷蔵庫に入れる。スダチは薄い輪切りする。冷凍うどんをゆで、氷水で冷やしたあと、水気を切って、どんぶりに入れる。冷やしていたつゆを張り、スダチを上に並べる。
奈良市・西ノ京の薬師寺と唐招提寺の間に、「蕎麦(そば)切りよしむら」があり、冷たいスダチそばを食べたことがある。ズボラのうどんと比べると、店の方がスダチが薄く、さらに4分1に切ったスダチもついて、絞り入れるようにっていた。次に僕が作る時には、半分に切ったスダチも添えて、せめて大きさだけでも、プロを超えてみよう。(梶川伸)2025.09.28
更新日時 2025/09/28