編集長のズボラ料理(830) ヒイカの煮汁ご飯リゾット
ヒイカは安い。安いからスーパーで買う。買ってから困る。その繰り返しである。
ヒイカは案外小さい。だから丸まま、甘辛くに煮るのが一般的のようだ。調理ずみものを買うと、たいていはそうなっている。
煮たイカは好きだ。しょうゆとの相性がいい。できあいも買って食べるが、自分ではこの方法では作らない。目玉と薄い中骨がちょっと気になってしまう。
ヒイカを買うと、第1段階として、胴体と頭・足の部分を切り離す。小さいから困る。第2段階として目玉をカットする。ついでに目から続くヌルッとした部分も取り除く。第1段階よりも細かい作業なので困る。第3段階で中骨を抜く。親指の爪と人差し指の指先を使うので痛くて困る。
ヒイカの胴と足を、砂糖や酒やしょうゆやショウガの千切りを加えて煮るのが第4段階。煮ると胴は縮んでしまう。足にいたっては、目玉を取った時点ですでに小さいので、煮ると消滅寸前になる。これが大困りである。
もったいないので、足も胴と一緒に盛りつける。しかし、貧相なので、食べる直前の困りごととなる。それを長年繰り返してきた。今回は何とかズボラ料理で解決したい。
ヒイカを煮たあと、煮汁を少しと小さな足を鍋に残し、ご飯を加えて再度煮る。グラタンなどの容器に移し、とろけるチーズを乗せてオーブンで焼く。ヒイカの皿の横に並べてテーブルに乗せれば、貧弱さは気にならない。
遍路仲間の中に、イカ飯名人がいる。仲間がマンションの部屋に押しかけた際に、さりげなく出てきた。シンプルな味ながら旨味を感じて、みんなが気に入った。聞いてみると、スルメイカにもち米を詰めて1時間近く煮ているだけだという。
「そんことはないやろ」「それはイカさまだ」と思うのだが、「それだけ」と言う。そこで、本当かどうかの確認も含め、イカ飯教室を開いてもらうことを決めた。ただし条件があるという。大きなスルメイカが手に入らないらしく、入手できたらとのこと。それではイカんともしがたいので、実現まではヒイカリゾットでがまんする。(梶川伸)2025.10.09
更新日時 2025/10/09