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編集長のズボラ料理(829) レンコンのメカブ梅肉和え

大葉を散らしてもいい

 うちでは最近、メカブブームが起きている。
 メカブとはワカメの根元部分を言う。若いころ、徳島市に住んでいた。だからワカメにはなじみがあるし、好きな食べ物でもある。だからメカブのことは知っていた。でも、食べることはなかった。
 あのヒダヒダした形、あの食べる気をなえさせる茶色、そしてあのネバネバ。どうも手を出しにくい三大要素があった。
 しかし、考えてみれば、茶色やネバネバには、すでに免疫があった。小学生のころ東京に住んでいたので、納豆は食べていた。正に茶色のネバネバで、今でも食べるし、抵抗感は全くない。それが海藻になっただけなのだ。
 東日本大震災から3年後、被災地を訪ねたことがある。宮城県南三陸町にも行き、民宿「なか」にお世話になった。漁師の家で、夜は海の幸のごちそうだった。ウニもあり、ホヤもあったが、印象に残ったのはマツモだった。緑色の水草で、ネバネバに調理してあった。
 マツモのイメージは、金魚の水槽の緑。それが人間の食べ物にもなるのを知った。ここでもネバネバは克服していたのだ。
 残るハードルはハヒダヒダ。友人に根元からのワカメをもらったこともあるが、ヒダヒダ部分は内緒で捨てていたほどだ。
 僕のメカブブームのきっかけは、スーパーでのちょっとした目撃だった。魚売り場でパックの舟に入った物体を見つけた。それがメカブだった。火を通しているのか、緑色をしている。細かく切ってあり、粘りも見える。
 茶色のヒダヒダとはえらい違い。これまで目がいかなかったのは、地味な包装だったからだろう。「緑ならいける」と直感したが、買う決断をさせたのは安さだった。
 レンコンをスライサーなどで薄い輪切りにする。鍋でだしをとり、レンコンを煮る。水分をを取って、メカブ、梅肉、白だしで和える。
 メカブを天ぷらにしてみようと挑戦してみた。ネバネバなので、冷凍してから衣をつけて油に入れた。パチパチパチ。油が飛び散り続けて大惨事になった。メカブの水分のためだった。いくらマイブームでも、何をしてもいいわけではいと知った。(梶川伸)2025.10.04
 

更新日時 2025/10/04


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