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編集長のズボラ料理(758) 厚揚げとオクラの梅肉ポン酢炒め

梅肉は多めの方がインパクトがある

 数年前から、ポン酢の味比べをしている。きっかけは遍路旅だった。
 遍路旅の先達(案内人)をしていた時、僕のコンセプトの第1は、「良い遍路道は歩く」だった。突っ込んで言うと、それ以外は歩かずバスで移動する。つまり、ゆるーい遍路だった。
 第2は「せっかくだから、四国を丸ごと知ってほしい」だった。四国全体の風土の中で、遍路が延々と続いてきた、と考えたからだ。だから、寄り道をたくさんした。バスを使うので、それができた。ゆるーい、ゆるーい遍路だった。
 高知県馬路村の馬路温泉にも泊まった。村はユズの産地。食卓にはユズのポン酢やドレッシングが置いてあり、用意された水にもユズが入っていた。ふろに入れば、シャンプーにもボディーソープにもユズが使ってあった。      
 お隣の北川村の温泉にも泊まった。その名も「ゆずの宿」。やはりユズの産地で、100円でユズの詰め放題のイベントもあった。宿の人は「馬路村のユズは挿し木、北川村は実生」と対抗意識を見せていた。
 挿し木と実生と、どう違うのか。そうも考えて、ポン酢比べをすることになった。もちろん、2つの違いなどなど、わかるはずもなかったが。
 いろいろ買ってみると、ユズを原料にしている商品は結構多い。高知県ではほかに、高知市の「吉野川柚子のぽん酢」「土佐山村のゆずづくし」、本山町の「吉野川柚子のぽん酢」。高知はユズポン酢だらけなのだ。
 実生を売り物にしているのは北川村だけかと思ったら、兵庫県三木市、カネトシが「実生ゆずぽんず」を売っていた。使ってみたが、やはり違いは全くわからない。
 今回のズボラはポン酢を使う。ユズでもスダチでも、ユコウでもカボスでも、米酢でも穀物酢でもいい。
 厚揚げは食べやすい大きさに切る。オクラはへたを取り、先端も少し切って、サッとゆでる。水分をふき、縦半分に切る、フライパンに油をひき、厚揚げとオクラを炒める。味つけは梅肉とポン酢。
 ユズのポン酢は、高知以外のもある。。京都府宮津市、飯尾醸造の「富士ゆずぽん酢」を使ったこともある。成城石井にも「柚子ぽん酢」があるから、手軽に手にはいる。そんなユズを取り巻くゆるーい状況を知り、挿し木と実生の違いなど、どうでもよくなってきた。ゆるーい探究心だと、我ながら思う。(梶川伸)2024.09.16

更新日時 2024/09/16


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