編集長のズボラ料理(796) 肉団子のトマト煮
ハンバーグと肉団子、この2つの優劣はつけにくい。いや、子どもころのことだから、つけにくかった、という方が正しい。
ハンバーグの良さは、大きく見えることだ。パン粉や牛乳も使うので膨らむ。だから大きい。それを「フンワリしておいしい」と、おふくろから教え込まされていたから、ハンバーグは柔らかいのがいい、と思い込んでいた。
その手は、僕も使うことがある。特に息子は、いい歳になっても、食欲が旺盛だから、家に遊びに来た時は、大きく見せかける必要がある。そこで、ゆでたウズラの卵を入れたり、ベーコンや冷凍のスイートコーンを入れたりして、量を増やすこともある。そうすると、「ミートローフみたいやな」と、文句を言うから、ありがたみを感じない子どもである。
確かにミートローフを作る時は、できるだけ巨大にするため、なんでもかんでも混ぜ込んだ。しかも、表面にマッシュポテトを塗って、さらに大きく見せかけた
一方、肉団子は1つがピンポン玉ほどの大きさしかない。ミンチのほかに、混ぜ物がほとんどないからだろう。ミンチの密度は濃いが、量は少なくなる。どっちを選ぶかは、子どもにとっては苦渋の決断だった。
ただ、肉団子には奥の手がある。甘酢あんかけがそれで、味が濃いから、それほど量が多くなくても、満足感がある。551で豚まんを買って大人数で食べる際、物足りないかもしれないと感じた時は、肉団子の甘酢に応援を求める。
結構安いから、ためらいなく買える。ただし、豚まんを頼んだうえでのこと。もし、安い肉団子だけを頼むとしたら、なかなか勇気がいる。客が列を作って並んでいれば、「豚まんも買わずに」と、白い目で見られることを覚悟しなければならない。
そんな危険をおかさなくても、いい手がある。スーパーに行くと、肉売り場に生の肉団子が並んでいることがある。冷凍食品のコーナーにも置いてある。それにちょっと手を加えれば、ズボラ料理にはなる。
鍋で湯を沸かし、鶏がらスープの素を入れてスープを作る。量は少な目。缶詰めのカットトマト、トマトジュースを加え、コショウ、ローリエを加えて熱する。市販の生の肉団子、カットしたキャベツ、シメジ、薄切りの玉ネギをを入れて煮る。簡単、簡単。
肉団子くらい、自分でもミンチから作ることはできる。でも、スーパーのものは安い。売り場で客が並んでいることもない、551とは違って、その安心感が手を伸ばさせる。(梶川伸)2025.04.20
更新日時 2025/04/20