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編集長のズボラ料理(726) チーズおかかのおにぎり

軍艦巻き型にした方が乗せやすい

 今回はチーズおかかのおにぎりを作った。これほど手抜き料理はなく、ズボラは極まれりだが、ここに至るまでには若干の経緯がある。
 コンビニのおにぎりは便利だ。毎日新聞旅行の遍路旅の先達(案内人)をしている時も、つくづくそう思った。11番札所・藤井寺から12番・焼山寺へは、「へんろ転がし」と呼ばれる山道を登っていく。登って下りて、また登って下りて、またまた登る。登りだけの標高差を足していくと1000メートルをゆうに超える。
 募集で集まった人を案内する。脚の強い人、弱い人がいるので、ゆっくり登るので、所用時間は5時間から6時間を見込む。山の中だから、昼ご飯を持って登るのだが、コンビニのおにぎりに勝るものはない。コンパクトだし、どこででも食べられるからだ。
 高野山に「丁石道」という昔からの山登りの道があり、毎日新聞旅行のツアーで案内したことがある。添乗員さんには、昼ご飯はコンビにおにぎり頼んでおいた。ところが添乗員さんはおにぎりでは粗末だ思ったのか、何と弁当を用意していた。この「善意」があだになる。
 弁当はおにぎりに比べれば、格段に大きい。小さなリュックを背負った人は困ってしまい、手で持つことになった。しかも、歩いてる途中、突然の土砂降りになった。道は川状態。弁当を開くことなど不可能で、結局はバスに乗ってから食べるはめになった。
 それ以来、遊びに行く時は、コンビニおにぎりに頼るようになった。これが結構おもしろい。変わったおにぎりがたくさんあるからだ。たまごかけご飯風▽阿波尾鶏の鶏五目▽いくら醤油漬……。こんなのを見ると、つい買ってしまう。
 おにぎりではないが、ネタ(具)で目をひいたものがあり、それが今回のズボラ料理に結びついた。北海道の食品を売っている店で、「おむすび専門店のチーズおかか」に目が止まり、買ってみた。
 袋には「北海道の定番の味」と書いてあり、おにぎりに乗せた写真があしらってある。北海道に行ったことはあるが、これがおにぎりの定番だとは思わなかった。
粒状のチーズに、しょうゆ味の細かいカツオ節がまぶしてあった。
 何のことはない。チーズとカツオ節としょうゆさえあればいい。手間がかかるのは、チーズを細か砕くするだけではないか。そう考えたとたん、思いついてしまった。チーズおかかをそのまま使えばいいではない。
 小さめの俵型塩結びを作り、すしの軍艦巻きのようにノリで巻く。ノリは少し太めにしておにぎりからはみ出させ、できた空間に、チーズおかかを乗せる。ズボラ料理とは言えないかもしれないが、ズボラ料理なら許容範囲だろう。(梶川伸)2024.04.20

更新日時 2024/04/20


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