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編集長のズボラ料理(721) 煮豆のノリ和え

ノリの佃煮の量が多いと、黒い色が目立ち、色目が悪くなるので、抑え気味に

 僕は定年後クッカーだから、作れる品数は多くない。オリジナルなどない。ほとんどは、どこかで食べた物の「まねし」である。
 ネタ元として選ぶのは、居酒屋さんだ。安い値段で、いくつもの料理を食べることができるので、ズボラのネタ探しにはもってこいなのだ。料理下手でも、「数食べりゃ当たる」方式と言っていい。そのために、ちょこちょこ居酒屋に通う。「酒が好きだからやろ」という人がいるかもしれないが、それも当たっている。
 レストラン・食堂もいいが、難点がある。コース料理なら品数も多いが、そんな店は高くて、行く機会はない。食べるのは98%まで○○ランチであったり、○○定食だから、品数は少ない。メーンの料理に小鉢や添え物のサラダがついているくらいのもの。
 ズボラの参考になるのはメーン料理だから、ネタ獲得は1か0と、ということになる。コンピューター的なので、現代風と言えなくはない。小鉢の方は、店としても全力投球してないだろうから、僕としてもあてにはしていない。
 そんなネタ探しの経験則が崩れたことがある。仲間の水彩画の個展を近鉄百貨店上本町店のアートギャラリーに見に行き、その後でデパートのトラン街に行った時だった。食べたのは「つきひランチ」。メーンは根菜を使ったグラタン。これは当たりだったので、すぐに「編集長のズボラ料理」にすぐ取り込んだ(714回「根菜の和風グラタン」)。
 もう1つ、メーンに近い料理があり、魚のみそ焼きだった。これは何となく作り方と味は分かるから、食べることに専念していた。ふと見ると、魚の横に添え物があった。
それが2つ目のネタだった。煮た大豆をノリで和えてあった。まず思ったのは、「これは簡単そう」だった。すぐに作ってみた。作り方ははっきりしなくても、「簡単そう」だから構わない。
 袋に入った蒸し大豆を買ってくる。水洗いし、白だしを加えてもう1度煮る。再び水分を切る。ノリの佃煮をみりんで伸ばし、大豆を和える。皿に盛って、大葉の千切りを振る、簡単、簡単。「つきひ」のものとは全く別物かもしれないが、僕にとっては誤差の範囲である。
 その昔、「一粒で2度おいしい」というコマーシャルがあった。今回のつきひランチもそうだと、チョコッと思った。ランチには小鉢も4つついていたが、3つ目のネタにはならなかった。「それを望むなら、コースを食べろ」という声が聞こえてきそうだ。(梶川伸)2024.03.21 

更新日時 2024/03/27


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