編集長のズボラ料理(712) とろろキクナ
7年前、遊び仲間5人で大阪府池田市のインスタントラーメン発明記念館に行った。展示を見るのもそこそこに、マイ・カップヌードルを作った。
現在の料金は知らないが、当時は300円でカップを買った。サインペンでカップをデザインする。次にカップにスープの素と具を4種類入れてもらう。蓋をしてもらい、持ち運び用のパックに入れてでき上がり。それを首からぶらさげて、夜まで遊び回った。パックは大きいので、見た人には異様な光景に映ったに違いない。
まずは池田市内の商店街を歩き、呉春の酒蔵、落語みゅーじあむ、呉服座の前を通って阪急池田駅に戻った。記念館帰りでヌードルぶら下げ組みも見かけたので、それほど不思議な光景ではなかった、と思う。。
次に大阪大学の学生食堂で昼ご飯。人気だという麻婆天津飯を食べた。当時は460円だった。ご飯の上に卵焼きを乗せ、具のないあんをかけた上に、麻婆豆腐を乗せたもの。年寄りが大学をウロウロしているだけも怪しいのに、学食に入り、学生向けのボリューミーな丼を食べる姿は、さぞかし変だったことだろう。しかもカップヌードルをぶら下げているし。
大阪空港にも行った。日本酒の利き酒自動販売機で一杯飲むつもりだった。残念ながら自販機はしばらく前に撤去されていて、仕方がないからビル4階屋上の展望デッキで、しばらく飛行機の離発着を眺めた。後から見れば、5つのお尻にカップヌードルのしっぽがついているから、おかしかったことだろう。
最後は大阪市のおでん屋さん「花くじら」で一杯飲んで締めることにした。人気店なのでしばらく店の外に並び、席が開いたのでカップヌードルをぶら下げて店に入った。場違いの5人組みで、今から思えば笑ってしまう。、
いくつかのメニューを頼んだが、驚いたのは小さなさえずり(クジラの舌)の高かったこと。1人前だけ頼み 1人5ミリ四方限定で食べた、ほかには、はりはり巻きという水菜をクジラの皮で巻いたものが珍しかった。
仲間の1人が大絶賛したのは、キクナだった。さっと鍋で煮て、ヤマイモをかけて食べる。それだけのことだが、友人はその後も何度かキクナのおでんを口にした。仲間うちではグルメで通っていたが、この時初めて、疑わしいと思った。
簡単だから、まねごとをした。キクナをサッとゆで、白だしをかける。ナガイモをすり下ろして添え、キクナにからめながら食べる。
大阪市・福島のガレージで店開きしているうどん屋さんにも、その5人組で行った。ここでもおでんを食べた。奇妙な店だった。グルメの友人の誘いだったが、グルメに対する疑わしささらに深まった。(梶川伸)2024.02.05
更新日時 2024/02/05