編集長のズボラ料理(634) 焼きキノコと水菜のサラダ
友人夫婦のお母さんが、90歳を超えて元気だ。肉はモリモリ食べる。しかもい、いい肉を。うらやましい限り。
だから友人夫婦も、いい肉に慣れている。奥さんは料理名人だから、肉料理はうまい。特にローストビーフは絶品。遊び仲間で手作り料理を食べる会があると、僕は他の料理に見向きもせず、ローストビーフを食べることに専念する。何せ、低温で何時間も温度管理をして作るというのだから。
そんな彼女にも、弱点はある。いい肉でない料理は、決して上手とは言えないのだ。
ある時、彼女と僕でローストビーフ対決をした。それぞれ作って、仲間に食べてもらい、どちらが上か判断してもらうという真剣勝負だった。
肉はどうするか。彼女が買う肉は高級だから、それだけで差がつく。そこで、僕がよく使うイオンのタスマニアビーフを使うことにした。公平を期すために、2人で僕の住む京都府南部のイオンで買い、勝負会場は神戸市の別の友人のマンションのゲストルームとした。
お互いに家で作って勝負会場に持ち込んだ。僕はピスタッチオを使う秘策を用い、彼女はソースに趣向をこ凝らし、いざ、勝負。ところが、審査員の友人たちは大喜びでもしないし、ほめもしないし、盛り上がりもしない、彼女のも、僕のものに対しても。僕も相手のローストビーフを食べてみたが、いつものあの感動がない。
そこで、はっきりと分かった。いい肉で作ったローストビーフは、おいしいということを。その味を知っている友人たちも、同じ思いだったのだろ。そこで、両者とも判定負けという妙な結末となり、みんなで別の食べ物を中心に食べ。飽きてきた時だけ、ローストビーフに手を伸ばすという重苦しい展開になtった。
友人夫婦のお母さんは、秋には必ずマツタケを食べる。友人夫婦はそのために車で丹波の方に買いに行く。先日、そのマツタケで作ったマツタケご飯を、ご相伴にあずかる機会があった。お母さんさまさまである。
マツタケでなくても、ほかのキノコでも、焼けば香ばしい。今回は、それで我慢する。エリンギを縦半分に切り、オーブンで少し焦げ目ができるくらいよく焼く。水菜はサッとゆで、水気を除いて食べやすいながさに切り、ボールに「入れる。焼けたエリンギをさらに縦半分に切り、ボールに入れる。スダチの皮、ショウガをともにせんぎりにして、これもボールに入れて混ぜる。皿に盛り、ポン酢をかけて食べる。
友人のお母さんには、ますます元気でいてほしい。イカナゴのくぎ煮作りの名人で、それもおすそ分けしてもらえるからだ。(梶川伸)2022.11.21
更新日時 2022/11/21