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編集長のズボラ料理(520) ゴーヤとクリームチーズの天ぷら

チーズが流れ出さないように注意

 毎日新聞の記者をしていたころ、チーズには妙な思い出がある。
 後輩の記者が、同僚の女性記者を好きになった。しかし、なかなか相手の気持ちを聞聞けない、酒を飲みながら打ち明けた。僕も酔っているので、力強く言った。「任しとけ」
 彼女を誘って、2人で酒を飲んだ。会社から近いチーズフォンデュの店だった。そんな専門店など行ったことはなかったが、若い2人の恋の話なので、しゃれた場をおぜん立てしてみた。これで雰囲気は万全。
 個室だった。これも、思い通りの寒ky法。鍋のチーズが温まった。串にパンを刺し。チーズをつけて一口食べた。時は着た。本題は早い方がいい。単刀直入に聞いた。答もストレートだった。「結婚するつもりはありません」
 僕にとっては、試合開始早々のKO負け。彼女からは、先輩は顔を潰して申し訳なさそうかをしている。だからと言って、ほかには特別に話題もない。全く盛り上がらないチーズフォンデュだった。完璧な状況ん設定が、かえって最悪結果になった。だから味など覚えていにあ。
 それからチーズには、こだわらなくなった。定年記念の自らへのごほうびとして、冬の北海道鶴居村にタンチョウを見に行った。地元の人に薦められて「おいしいチーズ」を買って食べたが、早朝にタンチョウを見に行った時のマイナス21度の寒さは覚えているが、チーズの味は覚えていない。
 スーパーのチーズ売り場では、トーストに乗せるためのとろけチーズを買う、こだわりがないので、メーカーよりも値段の安さで選ぶ。それ以外にモッツァレラとカマのことンベーも買うが、これは娘が好きなので、遊びに来た時のために用意しているだけ。
 メーカーで買うのは唯一、クリームチーズのキリ。ビールのあてがなくなった時に、冷蔵庫に入れ…おくと便利だからだ。
 ゴーヤは両端を切り落としたあと、輪切りにする。種・ワタの部分は1つずつ取り除く。ベーコンを細長い形の薄切りに、ゴーヤの輪の内側に張りつける。穴の部分を、クリームチーズで埋める。僕の場合、キリを使う。できたものに小麦粉をまぶす。ボールに小麦粉を入れ、少しコーンスターチを加え、水を加えて衣にする。ゴーヤをつけて揚げるが、チーズが流れ出さないように厚めに衣をつけるので、小麦粉を溶かす水は少なめにする・
 キリを食べると考える。これは料理としての一品なのか、それともお菓子なのか。まあ、考え出すとキリがないので、ビールのあてにする。(梶川伸)2022.06.10

更新日時 2022/09/10


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