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寺の花ものがたり(283) 般若寺(奈良市)水仙=12月中旬~2月中旬

2022年1月30日撮影

 般若寺といいえば秋桜(こすもす)で知られ、2004年に取材したことがある。それ以来、時々訪ねる。
 2021年の秋も参拝した。その時は、ガラス鉢などに花を浮かべる演出もあった。最近は花手水(ちょうず)のようなあしらいが。寺の花のはやりようだ。
 今回は水仙(すいせん)。境内一面に咲いている。ただ、秋桜は面として咲いていたが、それがなくなった後の花なので、線状に咲いているので、少し寂しさはある。
 水仙の説明板が設置してあった。この寺の品種は2つ。1つはニホンスイセン。よく知られる花弁が一重の白い水仙。もう1つはチャフルネス。花弁は八重で、芳香を漂わせる。
 境内には石仏がたくさんある。古いものもあり、レリーフの仏の形が、風化してぼやけているものもある。そんな仏に、シンプルな白い花が適している。
 花を水に浮かべる演出は、水仙でもしてあった。場所は本堂のすぐ前。色のついたガラス玉を使っているので、華やかに感じる。ただ、鉢の数は抑えてあった。
 満開の良い時期だった。寺の女性は「秋桜がまだ残っている11月の終わりごろに、1輪、2輪と咲き始める。花の時期は2月中ごろまで」と話していた。
 水仙の説明板を、改めて読む。学名はナルキッソスで、ギリシャ神話の美少年に由来するという。水鏡に写る自らの姿に恋をしたのがナルキッソスで、水辺でうつむいて咲く水仙を、それになぞらえたらしい。日本では「雪中花」と呼ばれ、その方がな納得がいく。そうなると、自然に咲いているままの風情の方がいい思う。

◇般若寺◇
 奈良市般若寺221。0742-22-6287。近鉄奈良駅から青山住宅行きバスで般若寺下車。飛鳥時代、高句麗(こうくり)僧によって開創。本尊の文殊菩薩や楼門、十三重石塔など、国宝や重文が多い。関西花の寺霊場第十七番。拝観有料。
(梶川伸)=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。2022.01.31

更新日時 2022/01/31


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