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編集長のズボラ料理(530) 牛肉・タマネギ・ミニトマトの炒め物

チーズは多めがいいかも

 またである。僕にとっては恐怖の「テレビで見た」。家族のこの言葉は、「作れ」と同義語だと、以前書いた。
 いつも突然だから困る。「見た」の言葉を合図に、材料をそろえ、どんなものをテレビでやっていたのか、聞き取りをしなければならない。今回も僕には突然だったが、家族にとっては必然と偶然の接点で発した言葉だった。
 自宅近くのスーパーに花屋さんが入っていて、スイートバジルの苗を1つ110円で売っていた。安いと思ったので2つ買い、鉢植えにした。
 娘はイタリア料理が好きで、遊びに来ると、イタリアンテイストの食べ物を作る。別に凝ったものでなくてい。トマト、モッツアレラチーズ、パスタ、バジルペースト、アンチョビソースのいずれかを使えばいいので、単純なものである。バジルペーストの代わりに、生のバジルの葉を使ったら喜んだ。単純の2乗である。
 しかし、遊びに来るといっても、月に1度か2度。その時以外はバジルの葉は使わない。結局、葉ではなくて、咲いた小さな花を楽しむこととなった。
 歩いて1時間20分の近鉄百貨店奈良店に、時々買い物に行く。行くとテナントの精肉店・福寿館で、牛肉の切り落としとスジ肉を買う。スジ肉は土手焼きにしたが、切り落としは冷凍庫に入っていた。
 元同僚が野菜作りに目覚め、収穫したものを大量に送ってくる。「大阪・北新地の料亭での接待するわ」が、いつものお礼の言葉だが、まだおごったことがない。
 それにもかかわらず、また届いた。ナス、キュウリ、ジャガイモ、ピーマン、それにトマト。ご近所さんにもおすそ分けしたが、我が家用にも大量に残った。トマトは普通のサイズのほか、ミニトマトもたっぷりと。。
 バジル、牛肉、ミニトマトの3点セットがそろってしまった。タマネギととろけるチーズはよく使いので、常備品になっている。そんな時に、この5点を使う料理をテレビで流してしまったのだ。これは逃れようがない。作り方の説明はいい加減だが、それはいつものことである。
 フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクのスライスを入れて熱し、ニンニクオイルを作る。ニンニクは取り除く。牛肉、くし切りにしたタマネギを炒める。味付けは酒、砂糖、しょうゆ。火が通ったらミニトマトを半分に切って加え、さらに炒め、最後にとろけるチーも加えてもうひと炒め。できあがったら、バジルの葉を入れて混ぜる。
 テレビの料理で気に入ったものがあれば、作らせよう。これは常に抱いている犯意で、必然の動機である。食材が偶然そろっていたのは偶然である。必然と偶然の交差するところに、不幸なできごとが起こる。(梶川伸)2021.08.01

更新日時 2021/08/01


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