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編集長のズボラ料理(519) 焼き飯のクレソン乗せ

クレソンは手でちぎって

 焼き飯ほど話題になる食べ物は少ない。カレー、ハンバーグと並んで御三家と言っていい。
 身近なうえに奥が深いからだろう。だから、誰も一家言ある。うるさいことこの上ない。
 名前からして焼き飯かチャーハンか。3人で話せば、1人10分ずつで30分は話し続ける。カレーライスかライスカレーかの場合は2人で15分ずつ計30分だから、これよりはましかもしれない。
 僕の場合は幼いころ、おふくろは焼き飯と言っていたような気がする。それがいつの間にか、チャーハンになった。
 その転換点はいつだったのか。「戦後は終わった」の掛け声で外食も浸透し、中華料理屋さんにも行くようになった。そこでチャーハンという言葉を知ったのではないか。おふくろも僕もチャーハンと呼ぶようになった。
 社会人になってまた、転換点を迎える。中華料理店や喫茶店も昼食場所となった。喫茶店はそうでもなかったが、中華料理店のものはうますぎる。これぞチャーハンで、家で作るものをチャーハンと呼ぶのはおこがましい。そこで、自ら口に出して言う時はへりくだって焼き飯となった。
 自分で作る時に、難しいのはご飯をパラパラにすることだ。中にはベチャベチャ派もいるが、これは論外。そういう人はオムライスのご飯もベチャベチャ派で、それは妥協もできるが、焼き飯はパラパラでないと焼き飯ではない。
 どうすればパラパラになるのかについて、喧々囂々(けんけんごうごう)となる。熱いご飯を使うか、冷めたご飯を使うか。卵をどう使うか。みんな好き勝手なことを言う。僕の場合は玉子かけご飯を作って、それをフライパンで炒めるズボラ方式である。
 卵以外に何をいれるかも、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論になる。ネギだけのシンプル派もいる。追加派はキャベツ、タマネギ、シイタケ、ミンチ、レタス、チリメン、タカナなど、好き勝手なものを口にする。
 味つけだってそうだ。塩・コショウの単純派がいると思えば、しゅうゆを加えるん人もいるし、あげくは食べる際にソースをかけるという一派もいて、千差万別である。
 今日はズボラ流。玉子ご飯を作り油をひいたフライパンで炒め、いったん取り出す。再び油をひき、キャベツとタマネギのみじん切り、細かく切ったソーセージを炒める。ご飯も戻し入れ、塩、コショウ、鶏ガラスープの素を振って具と混ぜなが炒め、最後にしょうゆで香りづけをし、クレソンを散らす。
 ちょっとはおしゃれに見えるかと思ってクレソンを乗せたが、それが特徴と言えなくもない。焼き飯には、作る人の数だけの種類があるのだから。(梶川伸)2021.07.07

更新日時 2021/07/06


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