編集長のズボラ料理(384) ナスのフライのタルタルソース
トロンとした食感が好きだ。ナスで感じることがある。
トロリとは違う。ソフトクリームで、少し溶けてきた時の感じがそうだが、ナスのトロンとは違う。第一、ソフトクリームはカップから流れ落ちないように、細心の注意を払わなければいけないが、ナスにはその心配がない。
ソフトは上の方からなめるのが正しい食べ方だが、暑い時にはそのオーソドックスルールから外れる勇気が求められる。気温が30度を超えると、アイスは横の方から流れていくので、カップのすぐ上あたりをなめて、流れを押しとどめなければならない。
舌の動きが間に合わない時は、カップを持つ手に到達する。その場合は、反対の手に素早く持ち替えて、手についたアイスを素早くなめるテクニックがいる。
瞬時の対応を怠ると、アイスがが手に流れていき、それを舌でなめるはめになる。こうなると、アイスの流出を抑えながら、手の処理もしなければならない。そんなテクニックを持っている人は少なく、生まれついた能力の有無になってしまう。
例えば、舌の先で鼻の頭をなめることのできる人がいる。そんな人は、長い舌で、手とアイスを交互になめることができるので、危機を回避することができる。
僕は無理だ。いくら頑張っても、鼻の穴の下の部分にも届かない。弟などは、舌が唇よりも先にはいかない。だから、猛暑日にはアイスは食べない。
ナスのトロンは、「トローリ」と違う。それはカレーのことで、「トロ-リ溶けてる」の歌に象徴される。
シュークリームも「トローリ」に分類される。シューは歯でかまなければいけない。手で半分に割ってしまうと、クリームが流れ出る恐れがある。
僕が小さいこり、親父は酔っ払うと、土産にヒロタのシュークリームを買って帰った。親父が酒を飲んで帰ってくるのを待っていたくらいだから、シュークリームを食べる作法は、子どものころから身についている。
ナスのトロンは、揚げた時に真価を発揮する。ナスは厚めの輪切りにする。小麦粉を水で薄めに溶いて、それを接着剤にして、パン粉をまぶす。薄めに溶くのは、パン粉がつきすぎないようにするためだ。ナスを油で揚げる。
ゆで卵を作り、小さく切ってマヨネーズと混ぜる。ちょっとコショウをふる。そのままでもいいが、ピクルスかキュウリの漬け物があれば、細かく切って混ぜる。揚げたナスに塗って食べる。外側がしっかりしていて、中がトロンとしていれば、成功。揚げすぎると、トロンがネットリに変わり、失敗。(梶川伸)2019.11.27
更新日時 2019/11/27