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編集長のズボラ料理(355) レモンバーム焼酎

水割り

 自宅の小さな庭に、ハーブのレオンバームが植えてある。もともとは鉢の寄せ植え用に買ってきた。花が終わったので、地植えにした。
 強いので、次々と葉をつけ、大きくなる。朝にパンを食べる時には、レモンバームのハーブティーを作って、しゃれた気分にひたっている。
 大きくなるにつれ、虫が葉を食べ始めた。葉の大きさが摘みごろになる前に、穴があき、ほっておくと葉脈だけになってしまう。ただで飲めるハーブティーの材料だから、腹の虫も収まらない。
 口にするものなので、殺虫剤は使えない。では、せっかくの葉を生かすにはどうするか。そうだ、夜も使おう。行き着いたのは、レモンバーム焼酎(しょうちゅう)だった。
 家族はよく、「飲み過ぎに注意」とイエローカードを出す。しかし、これは違う。自分のことだけを考える利己主義に対して、自分以外のことを考える「利他」というものがある。この焼酎は、まさに利他に基づく崇高な飲み物なのだ。
 家族は「虫だって、生きていくためには、食べなくちゃいけない」と主張する。そんな言葉は無視する。
 それに、焼酎をおいしくする魔法の瓶も持っている。僕がよほど酒好きと思ったのか、友人がプレゼントしてくれた。この瓶に入れておくと、焼酎がマイルドになると言う。
 友人の期待を裏切ってはならないので、瓶を活用する。すると、どんどん焼酎を飲まなければならない。そのためにはレモンバーム焼酎ということになる。これも利他の心の実践である。
 瓶に十分に役割をはたしてもらうためは、高い焼酎よりも紙パック入りの安い焼酎の方がいい。魔法の効果が分かりやすいではないか。これも瓶を思いやる利他主義の延長線上にある。効果があるのかどうか、まだ判然としないので、友人の言葉を実証するために、どんどん飲んでいる。
 レモンバームの葉を摘んできてカップにいれ、熱い湯を注ぐ。ふたをして3分ほどむらして、ハーブティーにする。香りが立ったら、焼酎を入れて軽くかき回して飲む。これは、ちょっとぬるめのお湯割り。
 緑の色が涼しいので、ハーブティーを冷やして氷を加え、焼酎の水割りにすると、夏らしい飲み物になるが、香りはかなり落ちるので注意。そんなことも分かり、今は昼も夜も、利他に満ちている。(梶川伸)2019.06.12

更新日時 2019/06/12


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