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編集長のズボラ料理(297) キムチの天ぷら

葉より茎の方が揚げやすい

 天ぷらはなんで揚げるのだろう。そんな単純な疑問がわいてきた。
 前回に続いて天ぷらの話となる。天ぷらのレシピは簡単だから、文章にするには引き伸ばす必要があるので、前回と同じ展開になる。
 火を通すのが目的。これがわかりやすい理由だろう。サツマイモは生では食べられない。そこで揚げる。素揚げだと焦げたり水分がぬけたりする恐れがあるので、衣をつけるのは正解となる。
 ナスもそう、シシトウ、タケノコも。この3つを挙げたのは、前回の遍路の際の食事で出たので思いついた。ピーマンも出たが、これは生でも食べることがあるから、微妙な位置にある。
 キスやイカも、家庭では刺し身で食べられないものを天ぷらにする。これも合理的だろう。豚も。タコはたいていゆでるか蒸したものを買ってくるから、微妙な位置にある。
 高松の住んでいる時、讃岐うどんの店によく行った。ほとんどの店が天ぷらを置いていて、それをトッピングして食べる。1番人気はイカの足、つまりゲソの天ぷら。理由ははきりしている。丼からはみ出しそうな大きなゲソが、たいてい100円から120円の範囲で収まる。かけうどんが200円前後だから、必ず400円以内ですむ。うどんを大にしても500円で、これが讃岐うどんの真骨頂だと思う。
 ただ、納得できないものがあった。ゆで卵の天ぷらだった。ゆで卵だけでいいじゃないか。何でも天ぷらにすればいいというもんじゃない。そう思いながらも、行きつけの「竹清」では、必ずゆで卵の天ぷらを頼んだ。店の一角で、おばちゃんが天ぷらを揚げ続けている。店に入り、うどんを丼に入れてもらう前に、おばちゃんに「卵」と頼み、揚げたてをうどんに乗せる。
 高野豆腐の天ぷらだけは納得がいかない。そのままでいいじゃないか。何でもかんでも、天ぷらにするんじゃない。そう思いながら、うどんに乗せてしまう。
 今回は白菜キムチ。なるべく茎の部分を使う。衣は小麦粉に少しコーンスターチを加え、卵と少しの水で溶く。後は衣をつけて揚げるだけ。本当にレシピは短い。
 実はキャベツとタマネギの天ぷらを皿に盛ったら、すき間ができたので、穴埋めに揚げたのだった。何でもかんでも揚げるんじゃない。その言葉が自分に返ってくる。(梶川伸)2018.03.25

更新日時 2018/03/25


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