編集長のズボラ料理(280) 玉子豆腐カレー
カレー屋さんにはカレーを食べに行く。ところが、そうではない光景も見かかける。
毎日新聞大阪本社が、堂島にあった時、記者が昼食に好んでいく店の1つに、「インディアン」があった。本社の場所が西梅田に変わっても、カレーの香りに引き寄せられて、食べに行く人がいる。僕もその1人である。
その店で、ハヤシライスを食べる人がいる。これはどう考えても邪道である。たとえ何度も通ってカレーに飽きたとしても、ハヤシを選ぶべきではない。
カレー好きは、カレー屋ではカレーを食べる王道を歩まなければいけない。筋を通さなければいけない。安保法制に反対したなら、当選への希望だけを求めて、筋を曲げてはならない。僕など40年ほどの間に、ハヤシは1度しか食べたことがない。アレッ、食べたことあったか。
カレースパゲッティーを食べる人がいる。これも邪道である。ベテランは「カレースパ」と注文するが、ここまでくると、カレーからの明らかな転向と言える。カレー好きの選択の幅は、普通か大盛りかしかない。
もし、カレースパを食べたいなら、パスタ屋さんに行けばいいのだ。僕など40年ほどの間に、「カレースパ」と言って頼んだのは5回ほどしかない。後は「カレースパゲッティー」と正式名称で頼んだのが5回。アレッ、結構食べているか。
言い訳をするなら、パスタ屋さんでは、あまりカレースパはないので、カレー屋で食べざるをえない。この問題が解決されない限り、カレースパは生き続ける。
カレーのルーの上に、玉子を乗せる人がいる。これも邪道ではないか。そんな人には聞いてみたい。「玉子かけご飯に、カレーのルーを乗せますか?」
レトルトカレーを温め、ご飯の上にかける。玉子豆腐を買ってきて、小さな賽(さい)の目に切って、ルーの上に乗せる。ついているだしもかける。ただし、だしはご飯の方にかけた方がよかったかもしれない。
いくらカレーが好きでも、たまには、目先を変えてみたくなるのは人間の性ではないか。しかも、決して邪道の玉子乗せではない。玉子豆腐乗せであって、邪道の度合いは、各段に小さい。と思うのだが。やっぱり、無理な論理か。
(梶川伸)
更新日時 2017/10/04