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編集長のズボラ料理(236) ジャガイモのベーコン挟み焼き

チーズやバジルペーストを挟んでもいい

 野菜に土がついていると、新鮮な感じがする。しかし土を落とすのが面倒くさい。どちらにしようか迷うが、たいていは土のついたものにする。その方が、「野菜の味が分かる人」と見られからだ。
 ただ、問題と悩みがある。土は何で、どこまで落とせばいいのか。なかなか正解にたどりつかないから難儀だ。
 以前、大阪府門真市の友人に、地元名産のレンコンを長いままもらったことがある。農家から直接買い求め、「土はつけたままで」と言われたらしい。
 泥土が全体を覆い、乾燥してへばりついている。だからレンコンではなく、黒い棒に見える。水をかけても、全く流れ落ちない。そこでスポンジでこする。表面だけは少しずつ取れるが、らちがあかない。仕方なく、スポンジの片面が固いタイプの固い方でゴシゴシこする。
 固いスポンジはいつも、汚れのひどい鍋などに使うので、食品に用いるのにはためらいがある。しかし、そうも言っていられないので、思いっ切りこすり続ける。せっかくだからと、使う分だけでなく、全部の土を落とすことにしたが、これが無謀な挑戦だった。
 こすり続けて、精魂尽き果てたころ、レンコンの肌が丸出しになってホッとする。が、問題はここからである。どこまで落とせばいいのか。
 友人は「皮をむかずに使うように」と、農家に教えられたという。ということは土が残っていてはいけない。しかし、レンコンの肌は黄土色だから、土がとれたのかどうかわかりにくい。しかも、強くこすれば、土を肌にすり込んでしまうような気がする。最後は疲れ切って、土取りをやめたのである。
 ゴボウも土付きを買うが、これがまたやっかいだ。皮をむくのはゴボウ知らずと言われかねない。そこで土をこすり落とすが、レンコン以上にゴボウの皮と土が似ているから、何が何だかわからないではないか。
 サツマイモはどうか。土がついていれば、こすって落とす。しかし、強くこすれば、赤い皮をはいでしまって、中身が出てきてしまう。使うのはスポンジか、片面が固いものなのか、これも迷う。
 ジャガイモは? 特に今回の料理の場合は皮も食べるので、土の落とし具合が悩ましい。そんな時は考えるのをあきらめて、適当にやるのがズボラ風である。
 ジャガイモは長細いものを選び、土を落とす。片面に包丁で切れ目を入れる。深さは上から4分の3程度。切れ目にベーコン、ローレル(月桂樹の葉)、マスタードを挟む。塩、コショウをふり、オリーブオイルを塗って、オーブンで焼く。
 ローレルは味付けに重要なものだが、もちろん食べる時には外す。土の味がしなければ成功である。(梶川伸)2017.01.01

更新日時 2017/01/01


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