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編集長のズボラ料理(222) 揚げ豆腐と揚げゴボウの甘酢炒め

とろみがあった方が、甘酢炒めらしい

 キムチを使えば、何でもキムチの味になる。当たり前である。豚キムチも、キムチの鍋も、おおむね同じ味と言っていい。キムチをそのまま食べればいいのに、いろいろなバリエーションがある。
 カレー粉やカレーのルーを使えば、何でもカレーの味になる。これも当り前だ。カレーうどん、カレー焼き飯も、和風や中華風などのちょっとした変化はあるが、想像の範囲内である。
 そう考えてくると、だし+砂糖+しょうゆもそうだ。いろいろなものに活用する。これらの味は、結局のところ、たいていの人が好きなのだと思う。
 甘酢もその1つではないか。中華料理屋に行く。何を食べようか困ると、酢豚を頼む。好きだからだ。ランチメニューが3つあったとすると、必ず酢豚定食がある。そして、必ず酢豚定食が1番人気だと思う。
 551の蓬莱(ほうらい)で年に1回、土産用に豚まんを買う。5月の大阪市・中之島まつりの時だ。僕たちのグループ毎年テントを張って出店し、鳴門ワカメを売っている。メンバーは何か食べ物を持ち寄り、それを昼ご飯やビールにつまみにして、飲み食いしながらワカメを売る。僕は決まって豚まんを持っていく。だから僕がテントに入ると、「豚まんが来た」と言われる。僕が豚まんではなく、持っているものが豚まんなのだが。
 豚まんの売り場には、必ず肉団子の甘酢あんかけを売っている。これも酢豚のあんと、味はよく似ている。売っているのはほかに、シュウマイ、エビの天ぷらぐらいだから、肉団子の甘酢は選ばれた料理といえる。僕も時々買う。甘酢は中華料理の味つけの王さまに違いない。ということは、何でもかんでも甘酢にしてしまえばいいのだ。
 豆腐を水切りして、食べやすい大きさに切る。ゴボウは短冊に切る。それぞれにカタクリ粉をまぶし、油で揚げる。しょうゆ、砂糖、酢で甘酢を作り、コンソメスープで少しのばす。揚げた豆腐とゴボウを鍋で炒め、甘酢を加えてさらに炒め煮にする。最後に溶いたカタクリ粉でとろみをつける。
 甘酢を使ったから、当然ながら甘酢の味である。酢豚の具が違う、安いバージョンだと言ってもいい。(梶川伸)2016.09.26

更新日時 2016/09/26


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