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編集長のズボラ料理(198) 鶏胸肉のナゲット

火が通りにくかったら、ふたをしてしばらく蒸し焼きにし、最後はふたを取って、焼き目をつける

 NHKの番組「ためしてガッテン」を時々見る。見ると、「ヘェ~」と思うことがある。しばらく前、鶏の胸肉を柔らかくする方法をやっていて、「ヘェ~」どころか、「ヘェ~、ヘェ~」と感心した。
 確かに胸肉はパサパサしている。鶏のササミも同様。食べると口の中の水分なくなってしまう。だから、いつの間にかあまり使わなくなったし、食べなくなってしまった。
 僕は皮など、脂身がある方が好きだ。特に鶏皮など、フライパンでパリパリに炒めると、ビールのあてにはもってこいだと思う。第一、安いし。神戸で行きつけだった居酒屋さんは、メニューの中で鶏皮炒めが1番安く、150円だった。ただし、30年ほど前のことだが。
 これ以上安いメニューには、あまりお目にかからない。大阪市・天神橋筋の庶民的な天ぷら屋さん「天平」では、50円のメニューがあった。それは大根ジュース。天ぷらには大根おろしがかかせないが、大根の汁が残る。それをためておいて、ジュースとして出す。ただし、これはビールのあてにはならない。
 脂身があれば鶏は大好きだが、僕の遍路仲間には鶏が嫌いだという人がいる。そのうちの1人の女性は、一切食べないと断言する。四国には骨付き鳥という名物料理や、阿波尾鶏というブランド鶏がある。そこで、遍路旅の昼ご飯にはしばしば鶏料理を組み込む。ところが食べないので、別のものを用意することになる。
 彼女に聞いてみた。「なぜ、食べないのですか?」。答えは明快だった。「食べたことがないから」。明快ではあるが、どうも腑に落ちない。
 「ためしてガッテン」の手法は、胸肉をマイタケでもみ込むことだった。それで柔らかくなるなら、ケッコーケッコー、コケコッコーである。
 今回はほぼ、NHKの番組の盗作である。「ほぼ」と逃げを打ったのは、放映から日数がたち、「ほぼほぼ」しか覚えていないからだ。
 「ほぼほぼ」は若者のはやり言葉らしい。ただ、「完全」と「ほぼ」の間なのか、「ほぼ」よりは少し不完全なのか、はっきりしないらしい。僕は、「ほぼ」に対して「ほぼ」だから、「ほぼ」まではいかないという説に、ほぼ傾いている。
 鶏胸肉を適当に切り、マイタケと一緒にビニール袋に入れ、酒をまぶして袋をしめ、よくもみ込み、そのまま冷蔵庫にしばらく置いておく。取り出した胸肉に塩、コショウをふる。マヨネーズと卵を混ぜ、香りづけに少量の白だしを加える。これに胸肉を漬け、フライパンでじっくりと両面を焼く。
 これで合っているのかどうか、ほぼ自信がない。いや、「ほぼほぼ」か。(梶川伸)
=2016.07.18

更新日時 2016/07/18


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