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編集長のズボラ料理(184) かまぼこのいろいろ挟み

挟むのは何でも良い。味が薄ければ、しょうゆやマヨネーズなどを

 前回のズボラ料理であげ卵を取り上げ、巾着のように包めば料理になるという、おかずと料理の関係の最先端理論を紹介した。しかしその後、そんないい加減な理論でいいのか、という心の奥底からの叫びがあり、深く反省した。その深い反省の中で、新たな理論が完成した。
 「巾着型包み」は、もともとおかずの域を脱していて、理論づけしなくても料理だということに気づいたのだ。おかずと料理の間には、一定の落差があり、階段を1段上ったところに巾着包みがある。いわば閾値(しきいち)」の理論である。
 公害問題がクローズアップされたころ、閾値という考え方があった。ある物質が一定量(閾値)を超えて初めて、人体に影響を及ぼすというものだった。それは放射性廃棄物についても応用された。
 ただし公害反対派や反原発派は、階段などなく、物質の量ゼロから増えるに従って、人体への影響は右肩上がりに直線的に出るというものだった。僕もその考えで、それが新しい「おかず料理理論」に結びついた。
 つまり、おかずから料理までは少しずつ変化していくもので、ある時点から急に料理へとレベルアップするのではないということだ。数式にすれば、y=axとなる。
 これを、おかずから巾着包みへの展開で具体的に考えてみる。「包む」までの間には、少なくとも「乗せる」と、「挟む」というものを通り過ぎる必要があるのではないか。
 例えばクラッカーの上にチーズやら、アンチョビやらをのせて、ホームパーティーをするようなテレビコマーシャルを見ることがある。パーティーなど縁はないが、パーティーに出す以上、おかずの域から少し上昇していると考えていい。
 パーティーにはサンドイッチも出る。これは「挟む」の典型的食べ物だろう。乗せるよりは、少々手間がかかり、料理に近づいている。
 こう考えてくると、一挙に料理に進まなくても、「挟む」あたりでウロウロしてもいいじゃないか。これが新理論の結論である。
 スーパーに行くと、かまぼこが88円と安かった。これで挟もう。医者の待合室で診断を待っている間、雑誌を読んでいたら、それらしいのが載っていたし。
 かまぼこを板からはずし、1センチくらいの厚さに切っていく。切れた1枚には中間に切れ目を入れ、そこに冷蔵庫にあるものとカイワレを挟み込む。ちなみにこの時は、チリメン、ほぐしたサケ、イカの塩辛、メンタイコ、ワサビ漬け、ベーコン、シジミのつくだ煮、コンブのつくだ煮を選んだ。
 ここで学んだことがある。安いかまぼこは小さいので、挟みにくい。できれば大きい方がいい。新理論の付則である。(梶川伸)2016.04.23

更新日時 2016/04/23


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