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編集長のズボラ料理(138) アスパラのミンチ巻き焼き

かけるソースは好みで

 香川県の動きが怪しい。高松駅に行くと、「うどん県」と書いてある。確かに、讃岐うどんの地ではあるが。
 20年近く前に高松市に住んでいた。うどんのデータを見て、たまげた。香川県民の43%が1カ月に10回以上、19%が20回以上うどんを食べていた。これがどのくらいすごいのか。1人あたりのうどんの消費量は、全国平均の何と7倍だという。
 だからといって、県の名前を「うどん」にするとは。命名当初は、打ち立ての新鮮味があって話題になるが、時がたてば、伸びてしまうのではないか。
 丸亀市に行けば、「骨付き鳥市」に変わっている。何やねん、と思う人がいるかもしれないが、四国大好き、お遍路さん大好きの僕は知っている。丸亀市に「一鶴」という店がある。鶏の骨付きのもも肉を、その形のままスパイシーに焼く。それが骨付き鳥で、かぶりついて食べる。それがほかの店にも広がった。
 だから、骨付き鳥市もまずくはない。しかし、広がり過ぎて、大阪の北の新地にも道頓堀の近くににも、一鶴の店ができている。両方とも行った僕は心配する。「骨付き鳥新地」や「骨付き鳥堀」に改名したらどうしよう。
 きっと、香川県は夢を追っているのだ。その最たるものは「さぬきの夢」だろう。県がさぬきうどん用に開発した小麦の品種である。オーストラリア産に押されまくっていたので、巻き返しを図っている。
 夢を見た後には朝が来る。「さぬきのめざめ」は、香川県が売り出し中のアスパラの品種の名前である。太くて大きいアスパラで、見た目のインパクトがある。
 そのアスパラを最初に食べたのは、以前よくお世話になった高松市の居酒屋「遊」だった。びっくりした。皮をむいただけで、1本が生で出てきた。初体験。塩をつけて食べる。驚いた。みずみずしい。食べ終わると。1本丸まま次に焼いたものも出てきた。こちらの方がおいしいような気がしたが、印象は生の方が強い。
 一緒に行った友人も同じだった。そこで、また遊を訪ねてみたことがある。ところが時期外れで、「めざめ」はなかった。めざめは悪く、感激は夢に終わった。
 大阪では「めざめ」はなかなか手に入らない。そこで普通のアスパラを使う。アスパラは軽く皮をむいて、さっとゆでる。あいびきミンチとみじん切りのタマネギに生卵を入れて混ぜ、塩、コショウ、ナツメグで味をつけ、さらによく練る。ミンチをアスパラに巻きつける。アスパラの頭の部分にはミンチをつけない方が見ばえがいい。
 フライパンにオリーブオイルを軽くひき、アスパラ・ミンチを回しながら焼く。中まで火を通すため、途中でふたをして蒸し焼きにし、最後はふたをとって焼く。フライパンにトマトのみじん切り、ソース、バターを入れて煮詰め、それをかけて食べる。(梶川伸)2015.08.01

さぬきのめざめ さぬきの夢

更新日時 2015/08/01


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