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編集長のズボラ料理(131) ヨーグルト卵かけご飯

ヨーグルトはシンプルなものを使う

 長い間、迷っていた。作って食べてみようか、やめておこうか、と。
 食べようかと思ったきっかけは、テレビか本か、何かで見たからだった。ところが、何で見たのかは全く覚えていない。それほど、長い間悩んでいたことになる。
 ちゅうちょしていた理由はただ1つ。それがおいしいのか、という大いなる疑問があったからだ。卵かけご飯にヨーグルトを加えるのだが、どう考えてもしっくりこない。
 卵かけご飯は朝ご飯の定番と言っていい。自宅では食べなくても、旅に出れば宿の朝は、生たまごが待ち構えている。つまり、日本の朝は津々浦々、卵かけご飯で始まる。 
 そうなると、残された選択は、茶わんの1杯目で実行に移すか、2杯目にするか、だけのことだ。1杯目が王道だろうが、おうおうにして旅館のご飯は上品で、茶碗に入っている量が多い。だから、2杯目を頼むことになるので、その時に黄色い茶わんを差し出すと、仲居さんに申し訳ないような気がする。
 では2杯目に卵をかければよいではないか、となる。ところがこれにも悩みがある。旅館のおかずは、種類が多い。卵ご飯はほぼ完結した料理なので、ノリか漬け物さえあればすむ。だからご飯の1杯目で、せっせと食べる。お腹がいっぱいになり、2杯目に進めなくなる。割っていない卵が小皿に残ることになる。それは申し訳ない。割ってしまってから残すようなことがあれば、もう2度とその宿には泊まれなくなるほど恥ずかしい。
 それほど、卵かけご飯への思いは日本的である。そこに洋風の権化のヨーグルトを合わせる。大丈夫だろうか、と考えるのは当然だろう。
 それでも、長い葛藤の末にやってみる決断をした。卵かけご飯は変化が少ない。ちょっと目先を変えたくなったのだ。
 せっかくだから、その写真をフェイスブックに投稿した。「信じられない」「何ちゅうことを」と非難の嵐だった。「別々に食べる方がおいしい」という批判もあった。唯一、肯定的だったのは、「勇気を買う」だった。
 作り方はしごく簡単で、書くまでもないが、一応ルールなので。ご飯にヨーグルトを乗せ、その上に卵を落とし、しょうゆをかける。
 勇気の結果はどうだったか。「これも、あり」である。ただし、注意しなければならないのは、プレーンのヨーグルトを使うことだ。甘みのついているものに挑戦したこともあるが、「これは、なし」だった。(梶川伸)2015.06.05

ヨーグルト

更新日時 2015/06/05


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