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編集長のズボラ料理(23)イカとジャガイモのソテー

もし、柔らかくなりすぎて焼きにくい場合は、カタクリ粉を少し混ぜ込む

 酒のあてとして、イカは確固たる地位を占め続けている。
 僕は1970年に毎日新聞に入り、先輩に誘われてスナックなるものに初めて行った。先輩は当然のようにスルメを頼んだ。もちろんスルメは食べたことはある。しかし、マヨネーズをつけるのが、スナックのしきたりとは知らなかった。
 オイルサーディンもはやっていた。缶に入ったまま火にかけたものが出てくる。それにレモンを絞って食べる。これも、スナック通は頼まねばならなかった。
 通の卵のころ、その2つを頼み、ジンをロックで続けざま7杯飲んだ。さすがに家につく寸前、口が噴水状態になった。以来、2つ同時注文禁止のおきてを課した。だから、通にはならなかった。
 初任地の支局(事務所)は和歌山市にあった。新聞記者はよく支局で飲む。つまみがいる。新人の僕には買い物役が回ってくる。無茶苦茶な注文もあった。最たるものは「田辺市に行って、イカの一夜干しを買ってこい」。車を運転して2時間近く走る。国道沿いにイカを干している店があるので3枚ほど入手し、車を飛ばして帰ってくる。その日の仕事時間の大半は、買い物でつぶれる。まだ純真だったから、「これで良いのだろうか」と思った。しかし、アツアツに焼いたイカの味に負けて、頼まれたらホイホイと飛んでいく。仕事はしなくてもいいし。行くごとに純粋さが目減りして、今がある。
 手間を惜しまなければ、生のイカは安い。京都府宮津市の友人を訪ねた帰り、土産物店への案内を頼んだ。友人は「土産物屋は高い」と言う。連れていかれたのは、地元スーパーに入っている魚屋だった。イカをひと盛り買った。小ぶりだが10匹近くあった。家に帰ると、「新鮮なイカやで」と、恩着せがましく言った。家族は喜んだ。手間をかけてさばいたのは、僕ではなかった。イカが100円だったことは、いまだに内緒である。
 イカとジャガイモのソテーは、どこで覚えたか記憶にない。ジャガイモをゆで、皮をむいてからつぶす。イカソーメンを切り刻む。この2つに刻みネギ、卵白、ヨーグルトも加え、塩とコショウをふる。よく練ってコロッケ状にし、フライパンにバターをひいて焼く。中くらいのジャガイモ4個、イカ1舟、小さいヨーグルト1個、卵1つの白身が目安。(梶川伸)

イカとジャガイモのソテー

更新日時 2011/12/06


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