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編集長のズボラ料理(782) 薄切り大根の煮物

大根は皮つきの方が、スライスしたり煮たリするときに崩れにく

 居酒屋さんに行くと、「無限キュウリ」などというあてがある。いくらでも食べられるという意味で、無限なのだろう。キュウリに塩をしたり、南蛮漬け風の味つけがしてある。
 値段は安い、キュウリ自体が高いものではなく、作るのに手間がかからないからだろう。「無限」と「安い」は同義語と言ってよい。
 同義語にひかれて、つい頼んでしまう。最初は珍しいとも思ったので。ただ、箸休めにはいいが、無限には食べられない。単純な味だから、飽きてくる。
 無限キャベツもある。キュウリと同様だが、それほど驚きはない。昔は新世界などの串カツ屋さんによく行った。キャベツは無料の店もあり、そこではガバガバ℞無限に食べることができた。でも、それほどたくさんは食べられなかった。店の人の目が気になるからだ。あまり食べていると、冷たい視線を感じるからだ。
 視線以外にも、店側は無限食べされない対応さじゅを用意している。キャベツは小さな器に入れる方式で、食べきると店員さんに追加でいれてもらわなければならないからだ。1回の追加はいいが、2回目の追加となると、厚顔無恥さが試されることになるようで、それがブレーキとなる。
 これらの過去の経験から、無限とはいえ、そんなに食べられるものではない。食べ放題の店は40代までに行くべきで、50代になると、もとがとれない体験と同じことだ。
 テレビ番組を見手いたら、無限大根が出てきた。おでんの大根のことだった。そんなもん、特に取り上げる必要はないではないか。大根はおでんの具の代表的な具だから、だれでも知っている。ただ、無限の一言が気になった。
 おでんの大根を語るなら.丸切りの大根がどんなに厚いか、といったくらいのことで、無限とは無縁ではないか。「ヘヘン」だ。そう思って見ていると、大根は薄切りにすると言う。邪道だ、と叫ぼうとしたが、思いとどまった。
 実は僕は大根第好きで。刺し身のけんよりすこし太く切った大根に、しょうゆをかけ、カツオ節をかけて食べるのが、この世でご飯に次いで2番目に好きな食べ物なのだ。無縁とまではいかないが、かなり食べることができる。だとすると、薄切り大根も同じしれない。やってみるか。
 おでん作るつもりはなかったので、大根だけにした。大根は皮のまま、スライサーで丸い薄切りにする。鍋に濃いだしをとり、砂糖とみりんで味をつけ、スライス大根を入れて煮る、甘味を吸い込ましたあと、しょうゆを加えてさらに煮るて、しばらく煮びたしにしておく。
 煮た大根はよく食べる。ぶつ切りした方が、日本料理っぽい。しかし、薄切り大根は別物だった。確かに無下に食べられる。気に入ったので何回も無限に作るはめになってしまった。(梶川伸)2025.01.10                                                                                                                               

更新日時 2025/01/10


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