編集長のズボラ料理(735) スズキのネギみそ焼き
グルメな友だちはありがたい。仲間で遊ぶ時も、食べる店、飲む店をよく知っているからだ。遊びに行くのが初めての場所なら、調べてもくれる。
今年の春は、兵庫県明石市のグルメ夫婦の車で、わざわざ岡山県真庭市の醍醐桜を見に行った。推定樹齢は1000年。行きたがったのは僕だった。
午前9時に明石駅で待ち合わせてスタートした。目的地までは遠いのに、運悪く事故渋滞に巻き込まれてしまった。真庭市に着いたのは12時前。そこから目的地までは30分はかかる。そこでグルメ夫婦が言った。「先に昼ご飯にしよう」
店は調査ずみだった。岡山県の代表的な日本酒の1つ、御前酒の酒蔵が営む店。さすがである。僕はそれだけで舞い上がってしまった。運転手役には申し訳なかったが、せっかくだから酒メニューの中から1つを選んだ。
注文する前に、店員さんに聞いた。「この酒は下でも飲める?」
実はレストランは蔵の2階にあった。1階はショップ。御前酒の中の3種飲み比べ300円という、誰が考えても魅力的なメニューを用意している小さなカウンターがある。2階に上がりながら、そのカウンターを見ていたのだ。
2階で選んだ酒が1階の3種の中に入っていなことを、店員さんに確認して、じっくり飲んだ。続いて1階へ。運転手役には申し訳なかったが、300円でも時間をかけて味わった。
酒の誘惑には抗いがたく、昼ご飯でゆっくりし過ぎた。しかも、酒蔵への途中に見た2つのものが気になってきた。重文の旧尋常小学校と、枝垂れ桜のある寺。酒の勢いもあり、遅れついでに2カ所に寄ってしまった。
さて、目的地へ。細い山道を登っていく。何と、桜見物の車の大渋滞。結局、醍醐桜に着いたのは午後4時前だった。どういうこっちゃ。
大あわてで桜を眺め、大急ぎで帰路についた。明石市で締めの一杯をする必要があるからだ。グルメ夫婦はちゃんと店を用意していた。魚中心の市場「魚の棚」の一角の居酒屋さん。ちゃんと明石名物のタコ焼き「玉子焼き(明石焼き)」もメニューにあった。それも食べたが、あては生ダコなど魚中心。その中で、魚のネギみそ焼きがあった。魚はタイのようだった。
そのことを覚えていたので、スーパーでスズキの切り身を見つけた時に、まねしてみることにした。切り身の両側に軽くオリーブオイルを塗り、オーブンで両面を軽く焼く。青ネギをみじん切りにしてみそに混ぜ、みりんと白だしで伸ばし、スズキの片面に塗って、またオーブンで焼く。皿に乗せて、木の芽を添える。
ズボラ料理のメニューが増えたは、グルメ夫婦のお蔭だ。ただ、悟ったことがある。昼も夜も頼ると、飲み過ぎ・食べ過ぎになり、1日の予定が滅茶苦茶になる。(梶川伸)2024.06.04
更新日時 2024/06/04