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編集長のズボラ料理(687) あんかけオム焼き飯

段取りとスピードで

 料理をするうえで、段取りほど大事なものはない。でも、これほど難しいものはない。定年後の暇つぶしで台所に立つ僕のような定年後クッカーにとっては特に。
 遍路旅の先達(案内人)をしていたころ。徳島県勝浦町の「ふれあいの里・坂本」を、昼食場所によく選んだ。廃校になった小学校を使った宿泊施設で、昼食も
出す。調理は地元のおばちゃんたちが担当していた。
 初めて食べた時、天ぷらが温かかった。団体客の昼食は往々にして、天ぷらは冷めている。量が多いので、先に作っておくからだ。坂本は到着する時刻に合わせて、地元野菜を揚げていた。
 天ぷらの具材で、知らないものがあったので、配膳のおばちゃんに聞いてみた。おばちゃんはサッと調理場に行き、すぐに帰ってきて教えてくれた。「スイスイ」だと。後で調べると、イタドリのこと。スイバとも言うが、おばちゃんたちは親しみを込めてスイスイと呼んでいるようだった。
 客の疑問にスイスイと答えようとする、そんな面目さに好感をった。店開きをして間もないころで、客をもてなそうという思いが熱かったのだろう。それ以来、よく利用させてもらった。
 料理はできたての温かいうちに食べてもらうのが良い。それを成功させるのは、段取りにつきる。僕の場合、最後の一品だけは、食卓に出す直前に作る。ほかのものは冷めてもいいものを、先に作っておく。
 最後の一品を、最後の二品にしてみることがある。ガスレンジには火が出る所が2つあるし、魚を焼く場所もある。さらに電子レンジもある。同時に3つ、4つは作ることができる。そう思うのは、定年後クッカーのあさはかさ。たいていは失敗する。
 魚焼きに入れていた焼きなすは炭になる。同時平行でレンジの扉を開けると、前の時に作っていたグラタンが干からびているのだ。
 一品でも難しいものがあった。それがあんかけオム焼き飯。好きなものを合体させようと思った。。
 ご飯をボウルに入れ、生卵を加えてよく混ぜておく。キャベツと玉ねぎを細かく切っておく。合い挽きミンチも用意する。卵2つを溶いておく。バターを用意する。鍋に水を適量入れ、シイタケの細切りを煮る。味つけはだしの素、みりん、しょうゆ。できあがったら、いったん火を止めておく。カタクリを水に溶いておく。ここまでは準備と段取り。
 まず、焼き飯を作る。鍋に油をひき、卵ご飯を軽く炒め、再びボウルに移す。フライパンに油をひき、野菜とミンチを炒める。味つけはコショウ、砂糖、塩。ご飯を戻して一緒に炒め、最後にしょうゆ(あれば、ニンニクしょうゆ)で味をつけ、皿に盛る。フライパンを洗い、バターを入れて温め、溶き卵を入れてトロトロオムレツを作る。同時に鍋のレンジの火をつけ、熱くなったら、カタクリ粉を加えてあんにする。焼き飯の上にオムレツを乗せ、さらにあんをかける。
 一品だが、熱い物が3つ。すべてが大急ぎで、食べるのも熱いうちと思い、それまで大急ぎになってしまった。ああせわしい。(梶川伸)2023.09.21
 

更新日時 2023/09/21


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