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編集長のズボラ料理(682) 豚肉とナガイモの梅肉炒め

美肉の量は好みだが、多めの方が爽やかな味になる

 旅行に行って宿に泊まる。朝食はバイキング方式の時が多い。そんな時、必ずと言っていいほど、食べてみるものがある。
 1つはカレー。意外に思うかもしれないが、カレーの鍋は5割以上の確率で用意してある。カレーは宿によって違いがあるので、食べてみたくなる。
 ただし、食べるのはルーだけ。ご飯を食べると、お腹いっぱいになって、用意されたいくつもの料理を食べられなくなるからだ。
 息子が小学生のころ、大阪市・梅田の新阪急ホテルのバイキングの店に連れて行った。息子がまず食べたのはカレーライスで、次にチョコレートタワー。それでお腹が一杯になって、ほとんどの料理に手をつけなかった。その教訓から、バイキングではカレーのルーだけを食べることにしている。
 朝のバイキングで食べてみもう1つは梅干し。単に好きなのだ。もちろん、ご飯は食べないから、梅干しは1個限定。それ以上は酢っぱすぎて、つばが出すぎてなくなったしまう。
 店に食べに行って、料理に梅や梅肉を使ってあると、うれしくなる。随分昔だが、大阪府河内長野市の店で食べた茶碗蒸しには、ウーンとうなった。具は梅干し1個だけ。このシンプルさに感動した。梅干しが主役になることもあるのだ。
 親類の法事があり、和歌山市・新和歌浦のホテルで昼食となった。ここでまた、梅干しの茶碗蒸しが出た。具は梅干しだけだが、今度は少し手が込んでいて、茶碗蒸しの上にクズを溶いて固めたものを乗せて二重構造にし、クズには粉の青ノリを混ぜていた。さすがホテル、これは見栄えした。
 梅干しが主役と感じたことは、ほかにもある。和歌山県白浜町のとれとれ市場にある回転ずしの店だった。皿に梅干しが1個だけ乗って、レーンを回っている。しかも、値段は1番高い。堂々たる主役の風情。さすが、梅の産地、和歌山。
 ナガイモを拍子木切りにし、色が変わらないように、少し酢を垂らしておく。フライパンに油をひき、豚肉とナガイモを炒める。だしの素、砂糖、白だし、梅肉で味をつえる。皿に盛り、大葉の千切りをふる。
 回転ずしでは、高級魚のクエの握りも回っていた。とれとれ市場の方では、1匹5万円ほどで売っていたから、貫禄を見せつけている。これも高かった。しかし、クエは2貫1皿。これに対して、梅干しは1個だけ。しかも、ケースに入っている。決して毛を取らない。
 回転している梅干しを食べた。その梅干しをたべて、少し疑問がわいた。なぜ、ご飯がついていないのだろう、と。(梶川伸)2023.08.25

更新日時 2023/08/25


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