編集長のズボラ料理(662) 焼きアスパラのトマトソース
トマトで大いに盛り上がったことがある。トマトと無関係に思える遍路の時だったからおもしろい。
遍路仲間はウズズしていた。新型コロナウイルスのせいだ。1カに1回、あすなろ会と称して、酒を飲む。あすをも知れな年寄りばかりだが、せめてグループ名だけは未来志向に、というわけでこの名前になった。
でもちょっと恥ずかしい。店を予約する時に、あすなろ会だと告げる。電話なのでで頼むが、店はどんな会だろうか、と想像する。やってきた面々を見て、違和を覚えるに違いない。「あすなろ」どころか、「あすない会」のようなものだから。
飲みながら、「そろそろ行こう」となった。行くなら1番札所・霊山寺から。とりあえず、1泊2日で。
神戸市・三宮に集合し、高速バス乗った。霊山寺に参拝してから昼食。腹ごしらえもすませ、いよいよ歩き始めた。遍路は歩きが基本。2番・極楽寺までは1.5キロほどだから、足慣らしにはもってこい。歩き遍路はいいなあ。
ここから本格的に歩くのが普通だが、僕らはジャンボタクシーを予約していた。歩きはもう十分。これが、あすをも知れないあすなろ会の実力である。
タクシーは楽だ。寄り道も平気だ。ということで、阿波市の産直販売施設・JA夢市場が見えたので、つい寄ってみた。そこで、思わぬ光景に出会った。
売り場のある場所に、列ができているではんないか。列は微動だにしない。みんな手持ちぶさたで、漫然と立っているだけ。そこで1人に聞いてみた。「トマトが並ぶのを待っている」
たかがトモト、よう並ぶわ。そう思ったのだが、しばらくしてトマトが届いた。その時点で、列は建物の外まで伸びていた。。購入は1人2パック限りと聴いて、仲間の1人が並んだ。たががトマトのために、ようやるわ。
でも、大成功。最後の2パックをゲットした。小さくて真っ赤なトマト。イチゴのような形をしていて、「いちごトマト」と名づけてあった。食べると、とても甘くフルーティー。1泊2日の遍路の最大の思い出になってしまった。歩きでは、立ち寄ることはなかったどろうから、ジャンボタクシーは正しい選択だった。
アスパラガスは、ピーラーで固い部分の皮をむき、オーブンで焼く。トマトを小さく切って、酢、白だし、塩、コショウを加えて混ぜ、皿に敷き詰める。その上に焼きアスパラを並べ、トマトをソースとして食べる。
この遍路の思い出は、もう1つあった。ワールドベースボールクラシック。宿坊の部屋でテレビをみながら、ビールをン飲んだ。待ちわびた遍路ではあったが、トマトと大谷にはかなわなかった。(梶川伸)2023.05.12
更新日時 2023/05/12