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豊中・池田発ガンバルジャン⑪

ヤマネの杉山善示社長(右端)と従業員の皆さん

◆ヤマネ◆
 阪急庄内駅から南へいったところに「ヤマネ」という会社がある。どんな会社かわかる人は少ないだろうが、ここで作られたものを見た人は多いはずだ。

 ヤマネが扱うのは、ビルやマンション、橋などの大型建造物を、建築学的な工法に基づいて作る産業模型だ。1954年に創立したヤマネは、高度経済成長と共に事業を拡大していくが、オイルショックなどによる経済停滞もあり、模型作りの技術を博物館などの展示模型に活用していくようになった。瓦の1枚まで正確に再現するそれは既に芸術品の域に達し、大阪府立近つ飛鳥博物館(河南町)の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)復原模型に並ぶ1万8200個の円筒埴輪は圧巻だ。

 社員は約20人。それぞれが得意分野を持つエキスパートだ。谷紀幸さんは橋に精通しているが、若いころに担当した本四架橋の模型作りは苦労したという。「橋の模型は見た目だけでなく、本物と同じ構造でなければ作れない。材料の伸縮、ねじれ、力のかかり具合など、実際の工法が理に適ったものだとわかってくる」。古賀晶子さんは、造園関係の職に就いていた経験を生かし、ジオラマの木や野山が自然に見えるように作ることにたけている。「本物ではないが、本物に接しているような仕事」と胸を張る。

 杉山善示社長は「会議の決まり事は1つだけ。反対するなら代案を出すこと。だから議論は常に建設的だし、どんどんアイデアが出て来る。全部が製品として実現できるわけではないが、技術を持った人たちばかりなので、面白いものもたくさん生まれるよ」と笑う。

 サンプルとして作られた街の人たちの日常を切り取ったジオラマには、千鳥足のおっちゃんや、肩車で動物園を見る親子連れがいた。「建物をリアルに再現するだけでなく、生活感のある風景を作っていきたい。博物館で模型を見かけたら、そんなところにも注目して」(礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第22号(2011年5月26日)

ヤマネ 産業模型

更新日時 2011/05/26


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