池田・豊中発ガンバルジャン⑤
YUMA Teaching Japanese Firm――
池田生まれで池田育ちの釜渕優子さん(39)は高校生の時、ばく然と「国際交流の仕事をしたい」と考えた。思いを持ち続け、企業の外国人社員に日本語を教える仕事に携わってきて、20年後の2009年2月に個人事業主として「YUMA」を起こし、経営者としての道を歩んでいる。
大学で日本語を学んだ。会社に勤め、高校の教師もしたが、夫の勤務で中国・大連市で生活したことが、今の道への入り口になった。大連で中国人社員の日本語トレーニングを頼まれ、企業が求める日本語を知った。「早く話せるようになること」だった。
大連、瀋陽、上海、香港と、中国での暮らしは7年に及んだ。そのことも、大きな宝となった。「語学を学ぶ時、生活が楽しくて、その国が好きであれば問題はない」という実感だった。
池田に帰ると、出版社からの依頼で、「しごとの日本語 電話対応基礎編」といった外国人向けの初歩の教科書を相次いで出版した。リコーなどの企業で日本語研修講師を務め、電話による日本語会話テストの事業にもかかわってきた。いずれも、フリーランスの仕事だった。
2年前、大連に行く機会があり、「日本語を取り巻く状況は変わっていない」と感じ、外国人社員に対する日本語教育を軸にした起業を決意した。今は関西学院大学大学院で敬語を専攻し、自らの日本語の質を高めている。
その成果を「マンガでわかる実用敬語 初級編」として出版した。例えば、電話を受けた時は「(社名)でございます」「少々お待ちください」の2つを覚えれば良いなど、内容はシンプルだが、それが実用的だという。
起業にはもう1つ理由がある。「日本語教師は熱心でよく働くが、仕事としては成り立たない」。ボランティア的に見られるためだ。そこで、教師と企業の橋渡しを、ビジネスとしてつく上げることが今の夢だ。(梶川伸)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第11号(2010年12月3日)
更新日時 2010/12/10