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編集長のズボラ料理(631) キャベツのハニーマスタード

物足りなければ生ハムを乗せてもいい

 キャベツは料理の中で、それほど目立つ食材ではない。しかし、串カツではなくてはならないものだ、。
 のれんをくぐって、串カツの店に入る。そこにはカウンターがある。串カツの王道は立って飲み食いする。ベテランになると、カウンターに対して斜め45度の半身に構えて立つ。客が少しでもたくさん入れるようにするマナーなのだ。
 大阪の人情の真骨頂が半身立ちだが、それは時として美しい。食べたり飲んだりするリズムが、客全員で一致する瞬がある。古くはダークダックスかデュークエイセス、新しくはエグザイルのような統一感が生まれ、当事者でさえもホレボレする。
 歳をとると、立ち飲みはつらい。そこでいすのあるカウンターの店を選ぶ。そうなると、たとえリズムがあったとしても、みんな正面を向いているので、当事者は統一性に気づかない。
 立っていても座っていても、キャベツは盛ってある。串カツを食べながら、キャベツも食べる。そんなことは初心者でもわかる。
 ソースは金属の容器に入っていて、串カツを1回だけつけて食べる。これが2度づけ禁止ルールで、1度しかつけてはいけないということ。これを客は必ず守る。
 1回つけでは物足りない時や、つけるのに失敗したらどうするか。そんな時、キャベツの登場となる。1枚を少し丸めるようにして手に持ち、ソースの容器に入れ、丸まった部分にソースを乗せ、それを串カツに注ぐ。もちろん、キャベツも食べる。これがベテランの所作。
 次の串カツでこれを繰り返す。つまり、1カツ・1キャベツの組み合わせだが、1カツ・2キャベツにしてもよく、2度づけ禁止ルールをクリアできる。だから、串カツにはキャベツがなくてはならない食材といえる。
 お好み焼きにも、キャベツが必要だ。豚カツにもキャベツの千切りはほしい。あればあるほどいいので、僕はキャベツがお代わりできる豚カツ専門店に入ることにしている。この3つの料理以外は、キャベツはあればいいし、なくてもかまわない。
 なくてもいい料理が結構多いので、冷蔵庫の中でキャベツが冬眠状態になっていく。そんな時にはズボラ料理で消化する。キャベツはざく切りにして、クレイジーペッパー(なければ塩、コショウ)をふってよく混ぜる。容器に入れてレンジでチーンをしたあと、ハニーマスタードをかける。
 たまたま、娘が持って来たハニーマスタードあったのでそれを使ったが、アンチョビソースで炒めてもいいし、串カツ屋さんのように生でソースをつけてもいい。そう考えると、キャベツはあった方がいい食材だと思う。(梶川伸)2022.11.04

更新日時 2022/11/04


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