編集長のズボラ料理(27) 新タマネギのレンジでチーン
僕たちの遍路仲間で、「淡路サミット」なるものが恒例化した時期があった。四国からの帰り、バスは必ず淡路島の北端近くにある淡路ハイウェイオアシスに寄る。そこから大阪までの道中、阪神高速道路が渋滞することがあり、トイレ休憩を取らなければならないからだ。所要時間は約20分。小用時間としては長めだが、それには訳があった。
そこでは瓶ビールを売っている。しかも、栓が手で外せるので、その場で飲める。巡拝も終わった後だし、自由に使える丸テーブルに座り、のどをうるおそうということになる。その円卓会議を淡路サミットと称した。議題はいつも「世界について」だった。
20分間というのは、小用には余裕があるが、ビールを飲むには短すぎる。では、どうするか。
まずバスを急いで降りて、トイレに駆け込み、最大の課題はすませる。後は、役割が決まっている。設営係はサミット会議場のテーブルを確保する。資材担当は二手に分かれ、ビールとつまみを調達する。メンバーが揃うと、長老の議長が開会を宣言する。後は飲むだけ。そうなれば、サミットだとか、世界だとか、そんなこととは無縁になり、ただの飲み会に様変わりする。
それにしても、せわしいサミットだった。バスへの往復、後片付けなどの時間を除くと、時間は10分ほどしかない。だから、議長の閉会宣言はいつも決まっていて、「継続審議」。そして、次の会も継続審議。だから、世界は変わらない。
最近は、タマネギスープサミットに衣替えした。ビール売り場のそばで、試飲ができるのだ。これが、うまい。時には試飲場所が2カ所あり、はしごをする。1カ所で2回はさすがに気が引けるが、これなら2杯目もバレにくい。試飲場所には2000万食売れたと大書してある。そうなると、買いたくなる。僕も、何度かこの試飲作戦のえじきになった。
遍路仲間の女性が教えてくれたのが、新タマネギのチーンである。淡路島産の新タマネギがあれば、それにこしたことはない。丸まま皮をむき、頭の方に包丁で十字の切れ目を入れ、レンジに5分かけるだけ。ポン酢とカツオ節で食べる。タマネギスープよりは良いと思う。それでも、タマネギスープの誘惑に負けてしまうのは、何でやねん。(梶川伸)
更新日時 2011/04/20