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編集長のズボラ料理(497) ナガイモとアボカドのマヨネーズ和え

焦げ目が少しついた方が香ばしくていい

 ステーキは洋食の王様だろう。ただ、滅多に食べることはない。高いからだ。いや、高いと思い込んでいるからだ。
 魚だって高い。マグロのトロなど、牛肉よりも高いことがある。新年の東京の中央市場の初セリでは、マグロ1尾が億になることがある。
 ニュースで見てビックリすると同時に、「いのち温めて酔いながら~」と、頭に中で北島三郎が「北の漁場」を歌い上げ、青森県・大間の漁師の巨大マグロとの格闘シーンが目に浮かぶ。やがて「老人と海」を思い出し、時代遅れの老漁師が、マグロを釣り上げたかどうかと思い巡らせる。
 そんなにドラマチックなマグロだがら、高いすし屋さんでは高い。らしい。行ったことがないから、実際には知らない。
 僕らはせいぜい、大阪市・天神橋筋のすしの激戦区で、リーゾナブルなすし政か奴寿司か春駒にするかの選択肢しかない。あるいはスシローか、くら寿司か、かっぱ寿司の回転ずしの選択しかない。目が回ると困るので、回らない回転ずしの魚米も選択肢に加えてもいい。
 すしは落としどころがあるが、ステーキは難しい。特に神戸や松阪や近江のステーキ屋さんには、危なくて近寄れない。総務省の幹部のようにおごってもらうなら別だが、僕らには値段が高すぎて、手が出ないかどころか、舌も出ない。
 ある時、友人が四国からやってきて、神戸市・北野の異人館街を案内した。話の中でつい神戸ビーフを口にする。仕方がない。昼ご飯を食べに、神戸ビーフの店に入ってしまった。カウンターに座り、前の鉄板で焼いてくれる、このスタイルだけで、高そうなヤバさがプンプンとにおった。
 こうなると、遠慮ムードが一挙に漂うことになる。ワインを薦められるが、値段がわからないのでパス。ビールを頼むが、当然のように小瓶が出てくる。仕方にないから、酒をチビチビやるように、少しずつ飲む。何としても2人で2本で抑えるる必要があるからだ。
 酒の量が少ないから、話もはずまない。肉の味は良かったのだろうが、味を楽しむ余裕がない。それ以来、神戸ビーフの店には行かないし、友人とは必ず天満か居酒屋さんいに行く暗黙のルールができた。
 最近は何でもかんでもステーキという名前をつける。マグロステーキ、豆腐ステーキ、大根ステーキ、コンニャクステーキ……。
 ナガイモは皮をむき、輪切りにして、両面に包丁で切れ目を入れ、油をひかないフライパンで両面を焼く。アボカドは皮をむき、適当な大きなに切る。マヨネーズにワサビ、ポン酢を加えてよく混ぜ、ナガイモ、アボカドを和える。
 これもナガイモステーキの変形といってもいい。しかし、マヨネーズで和えるとと、急に居酒屋メニューとなるのは何でだろう。(梶川伸)2021.03.12

更新日時 2021/04/13


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