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編集長のズボラ料理(476) 天かすオニオンチップ大根

天かす、ニンニクチップはパリパリの状況で

 高松市に1年5カ月住んでいたので、さぬきうどんはよく食べた。407軒も行ったので、数だけは自負している。しかし、短期間だったので、うどん道を究めたるには程遠かった。 
 香川県人のうどんの食べ方は深い。こちらはよそ者だし、経験年数不足で、迷いの連続だった。
 さぬきうどんの王道は、セルフうどんである。うどんの玉を頼み、それにつゆをかけ、天ぷらをトッピングする。すると、玉と天ぷらのバランスが大問題となる。
 高松に在住した25年前ころは、うどんは1玉100円~230円程度だった。天ぷらは80円~120円程度。今でも変わらない余り。この組み合わせを考えるのが難しい。
 計算をわかりやすくするため、1玉130円、1天ぷら90円と仮定する。1つずつなら230円となるが、それでは物足りない。ただし、主役はうどんだから、トッピングの合計値段がうどん上回っていけない。ここからは計算が必要になる。
 1玉>2トッピングはダメ。2玉>1トッピングはOKだが、うどんばかりになり過ぎる。2玉>2トッピングもOKだが、これではお腹がいっぱいになる。どこに正解があるのか、1年5カ月で見つけられなかった。
 まんのう町に、小縣家(おがたや)という人気店があり、高松市を離れた後も、遍路仲間や友人をよく連れて行く。名物はしょうゆうどん。まず大根が運ばれてきて、自分ですりおろす。やがて、つゆのないうどんが運ばれてくる。大根おろしや薬味を乗せ、しょうゆを回しかけて食べる。
 迷いの種は大根だ。毎回新しいものが運ばれてくるが、すりおろしても、たくさん残る。残ったものはどうするのか。気になって、気になって、大根を食べていられないではないか。
 セルフの店には、たいてい天かすが用意されていて、好みでどんぶりに入れる。トッピングに天ぷらを選んだうえに、天かすを乗せるべきなのか。天かすは天ぷらの余りだか、それではダブりではないのか。天かすを乗せるために、トッピングはキツネにすべきなのか。いまだに迷いの中にいる。
 大根の皮をむき、輪切りにする。米のとぎ汁(なければ水)でゆでる。いったん取り出し、今度はだしの素、砂糖、みりん、しょゆで味をつけて煮る。小麦粉を溶いて天ぷら用の衣を作り、熱くした油に垂らして天かすを作る。ニンニクをスライスし、油で揚げてニンニクチップを作る。大根を皿に乗せ、天カスと砕いたニンニクチップを上に乗せる。
 さぬきうどんにおける天かす問題と、大根問題の正解を見つけるために思考を深めるには、うってつけの食べ物だと思う。(梶川伸)2021.01.26

更新日時 2021/01/26


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