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編集長のズボラ料理(405) 揚げナスのエビオイルかけ

ナスの表面がちょっと茶色になるように上げると、こちらも香ばしさが出る

エビは高級感がある。洋食屋さんの定番はハンバーグか豚カツだが、1ランク上はエビフライが控えている。
 たった2尾だが、大量のキャベツやマッシュポテトを従えている。それがエビの貫禄でもある。
 大阪市・南田辺の昭和の雰囲気のある居酒屋さん「スタンドアサヒ」で、名物の1つはやはりエビフライだ。仲間と行くと、1人1尾ずつで満足する。それだけの威厳がある。
 京都に住んでいる息子を訪ねると、北大路にある回転すしの店「むさし」によく行った。「行った」と書いたのは、残念ながら店を閉じたからだ。その店でボタンエビがあると、必ず頼んだ。普通の品は1皿2貫だが、ボタンエビは1貫だった。しかも、普通の皿とは違う偉そげな皿にに乗っている。つまり、値段の高さを新せているので、皿の色はステータスの象徴でもある。
 おせち料理には、どうしてもエビの塩焼きがほしいし、三段重の中で主役級の役割を果たす。身もいいのだが、殻の香ばしさが他を圧する。
 エビせんべいでも、その香ばしさを味わえる。ただし、エビせんべいの場合は少し様子が違って、二極化の傾向が見える。
 名古屋市の坂角や香川県観音寺市の志満秀は、自分で買っては食べない。理由は」簡単、高いから。だからお使いものにする。同じ思いの人は多いらしく、時々頂き物として回ってくる、その時は自分で変えない分を取り戻す勢いで、意地になってパリパリ食べる。
 待っても待っても届かない時はどうするか。エビせんべいには中毒性があるから、我慢ができなくなったら、カルビーのかっぱえびせんを自ら買うはめになる。これは安いから、袋をパーティー開けして、パリパリ食べて、うっぷんをはらす。
 エビせんべいではなく、エビせんである。これは安さへ親しみを表している。1袋をあけたとしても、経済的負担は大したことはない。京都府の天の橋立や伊根の舟屋を見る観光船に乗ると、カモメに食べさせるくらいだから。
 エビの香ばしさを主役にする。ナスは皮をゼブラ状にむき、食べやすい長さ・大きさに切る。小麦粉に少しコーンスターチを混ぜ、ナスにまぶして油で揚げる。皿に盛り、上からエビ油(もしくはイセエビ油)を軽くかけて、香ばしい味をつける。残念ながら、エビせんではこの大役の代役はできない。食べるのは人間であり、カモメではないからだ。(梶川伸)2020.04.16
 

更新日時 2020/04/16


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