このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(360) ジャガイモのアンチョビソース焼き

アンチョビシース、とろけるチーズが少し焦げると良い

 日本人はカタカナ語に弱い。僕たちの世代が特にそうで、英会話がからっきしだからだろうか。
 カタカナ語は外国語の音をカタカナにしただけだから、日本語と思ってしまえばいいのだが、それも割り切れない。だから、外国語、カタカナ語、日本語の間で大混乱が起きる。
 奈良で仕事していた時の遊び仲間が、定年後も1カ月か2カ月に1度集まって、ビールを飲む。話題はいつも、「残りの人生をどう過ごすか」。ただ、テーマがまともすぎて、いつも継続審議になり、それが10年あまり続いている。
 ところ1年前、ついに1歩を踏み出した。奈良が好きなメンバーなので、奈良をPRするブログを作ったのだ。無から有が生じたのだから、これは大きい。仲間の間ではビッグバンと呼んでいる。
 ブログの名前を決める際に、言葉の大混乱が起きた。「奈良大好きクラブ」とまで決まったのだが、問題は表記だった。そのままにしておけばいいのに、つい横文字が頭をもたげ、「Naradaisukikurabu」になった。「club」せずにに「kurabu」。何語か判定不明で、中途半端な名前。
 「何じゃろな」と思う人は多いだろう。おかげでブログへのアクセスはほとんどない。仕方がないから、それを解消するにはどうすればいいかが、最近の飲む際のテーマになっている。
 長々と前置きをしたが、アンチョビのことを書きたかったのだ。アンチョビは片口鰯(かたくちいわし)のこと。日本では片口鰯の塩辛に限って、アンチョビと言うようだが。
 たかだか塩辛なのだが、アンチョビを料理に使ってあると、それだけでお洒落な印象を与える。カタカナ語のせいだろう。
 一方、片口鰯というと、いりこ、煮干しを連想し、どうも言葉の響きにスマートさがない。いりこの産地、香川県・伊吹島に行っていりこ工場を訪ねたことがある。女性たちが乾燥させたものを、ブランドいりこ用の片口鰯の子どもと、それ以外の子どもとに選別していた。片口鰯以外の方を、女性は「魚の子」と呼んだ。かかわいそうな名前ではない。
 これも、お洒落度は皆無ではないか。ただ、女性従業員は魚の子を大きなビニール袋に入れて、お土産にくれたので、悪く言うさらさらない。
 アンチョビは残ると保存が面倒くさいから、アンチョビソースを使う。ジャガイモをゆでて皮をむき、つぶす。卵を加え、アンチョビソースで味をつけ、細切りのとろけるチーズをたくさん入れて、よく練る。円盤状に成形し、フライパンにオリーブオイルをひいて、両面を焼く。
 さて、名前をどうするか。ジャガイモのアンチョビソース焼き。カタカナを使ってしまったが、馬鈴薯の片口鰯塩辛味つけ焼き、よりはましか。(梶川伸)2019.07.14

更新日時 2019/07/14


関連リンク