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編集長のズボラ料理(354) 鶏とズッキーニの塩コショウ炒め

ズッキーニはしま模様に皮をむくときれいに見える

 ブランド牛なるものがある。神戸牛、近江牛、松坂牛。近畿だけでも昔から知られているものはいくつもある。
 僕は奈良県の榛原牛をひいきにしている。自宅から近鉄電車で2駅の大和西大寺駅に近鉄百貨店奈良店があり、そこに榛原牛を売る福寿館が入っているからだ。奈良県民が大好きな肉で、トランプ米大統領が巻き舌で叫ぶ「アメリカファースト」よりも、もっと思いは強い。だから日米交渉で安いアメリカの牛肉が入ってきたとしても、奈良県民は榛原牛を見捨てないと確信している。
 最近はブランド牛が各県にある。山形県だと、米沢牛があれば山形牛もある。兵庫県に至っては、神戸牛のほかに但馬牛やら淡路牛もある。
 但馬で生まれ、淡路島で育ち、神戸で出荷される牛もある。そのうえ、神戸ビーフという横文字まで入ってくるから、ブランドの過当競争ではないか。
 その点、鶏のブランドは多くはない。高知県にトサジローというブランドがある。大阪では食べられないから、遍路で四国に行った時にいつか食べてみたい。そんな願をかけて、札所で手を合わせている。罰当たり遍路である。
 先達としてみなさんを案内し、高知市の料理旅館「臨水」でランチを食べたことがある。簡単な好き焼き定食で、つけて食べる卵が何と、トサジローだった。お大師さまのおかげである。
 別の機会に、高知県南国市の道の駅「南国風良里(ふらり)」で、オムレツ牛すじカレーを食べた。ルーの具が牛すじで、小さなオムレツが乗っていた。オムレツに使っていたのがトサジローで、何と2つも。お大師さまは偉大だ。
 ただ、トサジローの肉にはありつけない。信心がたりないのであろう。やむを得ず、徳島の阿波尾鶏や奈良の大和肉鶏を見つけては、時々食べている。
 鶏は皮つきのものを、1口大に切る。ズッキーニも小口切りにする。フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニク、ショウガ、白ネギをみじん切りにして入れ、熱する。鶏よく炒めたあと、ズッキーニも加えて炒め、クレイジーペッパー(もしくは塩、コショウ)で味付けをする。
 使うのはブランド鶏でなくてもいい。これはトサジローを食べられない腹いせである。(梶川伸)2019.06.07

更新日時 2019/06/07


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