編集長のズボラ料理(353) ナスのみそ・チーズ田楽
勝負ごとにはすこぶる弱い。だから基本的にはやらない。
パチンコは学生時代には誘われて何度かやったが、社会人になってからは2回か3回か。出張に行った時の時間待ちと、女性の友だちに「パチンコをやってみたい」と頼まれた時だけ。
何十年もパチンコをしたことはないが、最近はちょっと似ているマートボールをやる。年配の遍路仲間から「大阪の新世界を案内して」と頼まれつことがあるからだ。そんあ時は、スマートボールをして、「2度づけ禁止」の八重勝に串カツを食べに行き、並んでいるから別の串カツ屋さんに入るのがお決まりのコースとなっている。
スマートボールはパチンコと違って、球がゆーるゆーると動くので、何ともノンビリで、僕ら年寄りにはうってつけだ。スマート、というネーミングもいいし。でも、何でスマートなのだろう?
かけごとで、何で?と思うのはマージャンでもある。誰かが上がりとなって、点数掲載をする時である。例えば「タンヤオ」と「ピンフ」という役で上がったとすると、「タンヤオ・ピンフ・でんでん」と数える。何でも役の後に「でんでん」をつける。
マージャンも何十年もやっていない。その前は僕は負けてばかりだったから、「でんでん」ばかり聞かされ、でんでんおもしろくなかった。初任地が和歌山だったので、つい和歌山弁が出てしまったが。
苦しいこじつけだが、「田楽」のことである。何で田楽?と思って調べたら、豆腐やコンニャクを串に刺した田楽の形からきているらしい、田の神に豊作を祈願する田楽法師が一本足の竹馬のようなものに乗って踊り、その姿に似ているからという。でんでん知らなかった。ついでに、おでんも田楽がもとだとか。
田楽はどこか、通の食べ物のイメージがある。大変なごちそうではないが、上品なのだ。愛知県豊橋市で子どものころ、菜飯田楽を食べたことがる。大根の葉のご飯と豆腐のみそ田楽の組み合わせだった。親がわざわざ連れて行ってくれたのだが、子どもには「何で?」の印象の方が強かった。
ナスを縦半分に切り、切り口に軽くサラダ油を塗る。赤みそ、砂糖、サンショウの粉を混ぜて、みりんで伸ばし、ナスの切り口に乗せて、オーブンで焼く。途中で1回取り出し、軽くゴマをふり、上にとろけるチーズを重ね、もう一度焼く。
菜飯田楽は大人になってからもう1度、わざわざ食べに行った。人生はでんでん一貫性がない。(梶川伸)2019.06.03
更新日時 2019/06/03