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編集長のズボラ料理(325) ゴボウうどん

ゴボウは多めの方がいい

 最初に断っておいた方がいいと思うが、前回の「バタートースト入り卵スープ」に続き、今回の「ゴボウうどん」もパクリである。名前を書いただけで、中身がわかってしまうのも、前回と全く同じ。
 0泊3日という格安ツアーを経験した。大阪南港を午後5時発のフェリーで出発し、翌朝5時半に北九州市の新門司港に着く。そこからはバスで山口県を観光し、また午後5時発のフェリーに乗る。翌日の午前5時半に大阪南港に着くと対称形のコースと時間をたどり、後は急いで家に帰って寝る旅だった。
 足かけ3日だが、現地での宿泊はなく、フェリーで2泊。観光地は秋吉台の秋芳洞の入洞と昼食以外は無料の場所で、バスの駐車料も元乃隅神社だけ。だから格安にできたのだろう。
 船で暇をもてあましたかというと、そんなことはない。行きは窓際のテーブルで、たまたま同席した相手と、つまみを交換しながらビールを飲んだ。窓から外を見ても、真っ暗で意味がないし。
 おもしろい人だった。運送業を営んでいて、学校で能の公演授業がある時に、松が描かれている鏡板などの舞台装置を運んでいた。だから能には詳しく、「狂言は見ておもしろい。しかし、能は見てもおもしろくない。やればおもしろいが」と教えてくれた。
 用意周到な人で、保冷バッグに缶ビールを入れ、ドライアイスで冷やしていた。飲もうとしたら、ビールが凍っていた。何度も何度も缶を揺すっていたが、ビールは出てこない。結局、2本飲むのに2時間かかり、お互いに眠たくなった。帰りは疲れていたせいか、ビールを飲んで、すぐに寝た。
 昼食に用意されていたのは、「ゴボウ麺」のセットだった。そのあたりは美東ゴボウの産地だといい、それを麺に練り込んであり、鍋焼きうどん風になっていた。ゴボウチップスも用意してあって、それをトッピングして食べる。たまたま隣の席の女性に、「これはいける。家で作ってみよう」と、思わず話しかけた。
 ゴボウは見かけによらない。あんな土の棒みたいなのに味がいい。京都と奈良の府県堺に住んでいて、地元野菜に当尾(とうのお)ゴボウがある。すりこぎみたいな太い棒なのに、輪切りにして煮ると柔らかい。岡山出身の友人に、「明治ごんぼう村」のゴボウをもらったことがある。名前もキャラクターは「ごんぼう君」もダサいのに、食べるとなかなかいける。
 ゴボウを練り込んだ麺はないので、冷凍うどんを使い、肉うどんにする。スーパーで買ったゴボウをささがきにし、油で素揚げにする。これをたくさんトッピングする。主役はゴボウの味と香りだ。パクリ成功、と思った。
 昼食で話しかけた女性の答を書いていなかった。「でも、この香りのゴボウが手に入るでしょうか」というものだった。それだけは付け加えておく。(梶川伸)2019.01.04

更新日時 2019/01/04


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