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編集長のズボラ料理(316) キノコの肉みそ炒め

サンチェで包んで食べる野良い

 最近はキノコの種類が増えたと思う。特にデパートの地下に行くと、その多さにびっくりする。
 十数年前、奈良県桜井市の尼寺、音羽山観音寺に「お葉つきイチョウ」の取材に行ったことがある。取材が終わって尼僧と雑談をしていると、キノコを栽培していて、キノコご飯を参拝客に食べてもらうことがあるという。「1度食べに来ます」と、そんな話をした。
 話の流れのせいだろうか、帰り際に何種類かのキノコをプレゼントしてくれた。どんなキノコだったかは記憶にない。ただ「記憶にないから、そんなことはなかったと思う」と、へりくつは言わない。家で鍋にして食べた。
 キノコの種類が増えると、鍋が豊かになる。シイタケ、マイタケ、シメジ、ヒラタケ、アワビダケ、ナメタケ、エリンギ……。結構安いので、いろいろと使う。ただ、マツタケは入れない。自分だけ目立ってキノコのハーモニーを乱すからだ。決して負け惜しみではない。
 水炊きにして、ぽん酢で食べるシンプル鍋だが、ズボラとしてのこだわりがある。鍋はキノコで満杯にする。具はほかに豆腐とハクサイの葉だけ。肉や魚を加えない、ケチくさい鍋である。これは負け惜しみではなく、単純さが命なのだ。
 食べるには作法がある。鍋にふたをして、煮立つのを待つ。さて、その時が来ると、みんなが鍋に顔を近づけ、「せえの~」でふたを取る。
 キノコの香り立つ。それを鼻に吸い込む。その間10秒。トイレにでも行っていたら、取り返しがつかない。
 10秒1本勝負。そのために、ほかの味はない方がいい。以前、テレビで奈良県・吉野のワラビ餅を紹介していて、店の主人が出来上がったものを客に出し、「10秒で食べてください」と言っていたが、似たようなものだ。ただ、テレビの取材はないが。
 鼻が香りに慣れてきて感動が一段落すると、おもむろに食べる。香りで満足したので、後は惰性である。しまった! 今回はキノコ鍋の紹介にすればよかった。でも、ダメ。写真を撮っていない。
 そこで、キノコの肉みそ炒め。キノコはなんでもいいが、使ったのはシイタケ、シメジ、マイタケ、エリンギ。また、マツタケには縁がない。みそという強い味を使うので、マツタケが負けるからだ。負け惜しみではない。キノは適当に細長く切る。合わせみそに赤みそを混ぜ、みりん、白だしでのばし、酒、できればサンショウの実を砕いたもの加えて溶かしておく。合い挽きミンチを炒め、さらにキノコを加え、みそで味をつけてる。、
 さて、次はマツたケを使ってみるのでお待ちを。待つだけむだかもしれないが。(梶川伸)2018.10.12

更新日時 2018/10/12


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