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編集長のズボラ料理(308) ハムのワサビピカタ

個人的にはワサビは多めが好み

 回るすしと、回らないすしという区別がある。どちらかを選ぶなら、断然回る方だ。回らない方はだいたいにおいて値段が高く、目が回るほど高い店もある。
 しかし、値段だけの問題ではないのだ。回らない方は、しょうゆとワサビに大きな問題を抱えている。
 にぎりずその矛盾は、ご飯の上にネタが乗っているのに、しょうゆをつける時に上下をひっくり返さなければならない点だと思う。ネタが下なら、ほぼ平行移動でしょうゆ皿に移動できる、それなら、危険はない。
 ところが上下半回転させなければならない。箸(はし)ですしの両横をつかんで回せば、10回に7回はしょうゆ皿の手前で、ねたは落ちてしまう。3回はしょうゆ皿に何とか到達するが、しょうゆをネタにつけた後、再度半回転させなければならず、ここで2回は落ちる。だから、正規の方式で口に入るのは、10回に1回となる。こんな危険な食べ物はない。
 では、ネタが落ちないないようにするため、箸ですしの上下をつかめがいいではないかか。ことろがこれでは、しょうゆにネタをつける時に箸が邪魔して、十分につかず、欲求不満のまま食べることとなる。
 そこで僕は、安全策を取る。箸でネタを外し、それをしょうゆにつけてから再びご飯の上に乗せ、箸でつかみ直して、おもむろに口に運ぶ。これなら失敗することはない。回る方なら、これで全く問題はない。
 ところが、回らない方は、その方式を許さない雰囲気がある。だから、カウンターの中の大将の目の前でやるだけの勇気あ、さすがにない。大将がネタをケースに視線を落としているすきに、実行する以外にないが、焦れば失敗する可能性が高まるから、なかなか踏みきれない。そうならない解決策を模索するが、回らない店の雰囲気の中では、頭も回らない。
 ワサビは刺し身を頼んだ時に、問題が浮上する。回る店ではしょうゆにワサビを溶いて、それに刺し身をつければ、何の問題もない。
 回わらない店は違う。ワサビは刺し身の乗せなければならない。その上でしょうゆ皿まで運ぼわけで、ワサビがコロコロ回って落ちてしまったらどうするのだ。よって、回るか回らないかは、回る方がいいに決まっている。決して高級店に行けないひがみからではないのだ。
 ハムと卵や安いから、いつも冷蔵庫の中にある。困った時には、この2つを使う。ハムに軽く小麦粉をつける。卵をワサビと一緒に溶き、これを衣としてハムにつける。フライパンでバターを熱し、ハムを乗せて焼き、ピカタにする。最後にしょうゆを少し落として焼く。
 しょうゆの方を落とすわけで、ネタやワサビは落としようがない。つまり危険性は全くない。(梶川伸)2018.08.05

更新日時 2018/08/05


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