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編集長のズボラ料理(303) アサリはるさめ

アサリの身をはるさめに乗せてもいい

 友人の家で、はるさめをごちそうになった。乾燥したはるさめとスープの素がついているインスタント食品で、用意したピーマンやミンチの具を炒め、水を加えて熱してから、ハルサメとスープの素を入れて炒め煮にしてくれた。
 その時、ハッとして聞いてみた。「はるさめは乾燥したまま使うの?」。答は「当たり前!」と、当たり前の答だった。
 ところが僕は当たり前と思っていなかった。はるさめは乾燥したものをいったん湯で戻して使うと思い込んでいた。
 そこで早速、家にあった国産はるさめの袋を見た。まず〈もどし方〉とあり、「熱湯で3~4分ゆで、芯(しん)がなくなれば水洗いし、よく水切りをします」とある。やっぱり、戻してから使うのではないか。友人は間違っている。そうほくそえんだ直後、目が下の法方に動いた。
 そこには〈こんなものに〉の欄があった。わざわざ太字で「もどさずそのまま」の項目があり、「水炊き、汁物などに」と書いてある。太文字の「もどしてから」にはサラダ、炒め物、酢の物、すき焼きなどが挙げてあったが。
 何や、ちゃんと書いてあるやん。
 話は乾燥はるさめに出会ったころに戻る。料理素人だから、迷ったことが2つあった。外国産は緑豆はるさめとなっているから、原料は緑豆であろう。ところが国産のものはサツマイモとジャガイモを原料にしている。この2つがはるさめとして同じものなのかどうか。それが1つ目の大問題だった。
 そんなことを深く考えている時に、マロニーが悩みに乱入してきた。マロニーとは何か。はるさめなのか、それともマロニーなのか。
 三つ巴の大問題であったが、わけが分からない時は、先延ばしにして逃げることにしている。それでも、その後の長い間、僕の人生に大きな影響を与えているわけではないから、未だに先延ばしている。
 もう1つの悩みが、どうして使うかだった。説明文は最後まで読むのが料理の基本と、改めて知ったのが、今回の教訓だった。でも、今回の料理の場合、「もどさず」か「もどしてから」か、微妙なところで、結局は安全策で「もどしてから」にした。
 アサリを殻のまま鍋に入れ、ひたひたくらいに水を注ぎ、酒も少し加えて煮る。アサリのエキスが出たら煮汁をフライパンに移し、はるさめを煮る。白だしで味をつけ、水分がなくなったら完成。ミョウガの千切りを混ぜて皿に盛り、大葉の千切りを散らす。アサリは身をはずしてはるさめに乗せてもいいが、そのまま食卓に出せば、二品になる。(梶川伸)2018.05.04

更新日時 2018/06/04


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