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編集長のズボラ料理(284) ナスのアボカドみそ田楽

じっくりとと焼いた方がいい

 縦にするか、横にするか。結構大問題である。
 僕は新聞記者をしていたので、縦書きか横書きは特に気になる。自治体や議会などの広報紙のコンクールの審査員を頼まれていて、さらに気になることがある。記事が横書きなら、新聞と同じように右手でめくる「右開き」。横書きなら左手でめくる「左開き」。それが原則だと信じて疑わない。
だ から、横書き中心の広報紙が右開きだと気に入らない。縦か横か、右か左かはっきりしてほしい。中道などありえないし、「寛容な改革保守」などもっての外ので、スパッと切ってしまう。何が書きたいかいうと、食材の切り方もことで、そのために「切」の言葉が出るまで遠回りしてしまった。
 食材、特に果物系統を切る際に、縦か横かの問題が浮上する。例えばリンゴ。これは大抵は縦に切る。柿もそうだ。スイカも同様だ。スイカ割りをする時に、横置きしたスイカなど見たことがない。横に置けば縞は横になり、「横縞」に通じるという理由だけではなさそうな気がする。
 なぜ、横に切らないのだろう。枝についている頭の部分とお尻の部分が少しへこんでいて、お尻を下にすれば座りがよく、そうしておいて頭側から縦に包丁を入れるのが、安定的で合理的なのだと勝手に結論づけてみた。書きながら考えたので、ひょっとして「天才のひらめき」とも思ったが、ウイリアム・テルもリンゴを頭の上に縦に置いたから、ひそかに昔から引き継ぐれた理論かもしれない。
 ただ天津甘栗で、論理あ矛盾に陥いる。皮をむくときに、縦に置いておいて、爪で横に切れ目入れ、皮を上下2つにしてはずす。縦なのか、横なのか、わけがわからん。
 レモンはどうか。大抵横に切っている。スダチも横。それは果汁を搾るために違いない。これは目的が違うので、理論から外れても仕方がない。
 スダチを縦に切って、苦労して絞っている人を見ると、思わずほくそ笑んでしまう。縦横カットに精通した者の優越感がそうさせる。
 そんな僕だが、長いこと勘違いしていたものがある。それはアボカドだった。真ん中に大きな種があるので、取り除く必要がある。このため、種を残して2つに分けるように切れ目を入れ、半分に割る。その上で、片側にめり込んでいる種を取り除く。
 アボカドは縦には置きにくい。そこで横半分に切っていた。どんな理論にも例外がある。アボカドは縦切り理論の唯一の例外と思っていた。ある時、理論通りの縦切りにしてみた。すると種が外しやすいではないか。縦切り理論は完璧なのを証明できた。
 ナスは理論通り縦切りで半分にする。切断面に少し切れ目を入れ、軽く油を軽く塗る。アボカドを縦切りにして皮と種を取り除く。それをつぶし、みそ、みりんとを混ぜて練る。アボカドみそをナスの切り口に塗り、オーブンで焼く。
 こここで気づく。縦切りも横切りも、つぶしてしまえば関係ないことに。(梶川伸)2017.11.26

更新日時 2017/11/26


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