このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(278) ヒヨコ豆とミンチのカレー煮

ご飯にかけるには、ルーをもっと使い具も多くした方がよさそう

 カレーライスは日本料理である。そんな言い方がある。
 ラーメンは日本料理である。そんな言い方もある。
焼きギョウザは日本料理である。そんな言い方だってある。
 つまり、日本に入ってきた外国の料理を、日本人は上手に食生活に取り入れ、日本料理にアレンジしてしまう。その技術は、大阪が得意な気がする。
 僕が毎日新聞に入社し、和歌山勤務から大阪勤務になったのは、1974年だった。先輩と昼ご飯に行き、「カレーピッコロや」と言って、梅田の地下街のトイレの横にるカウンターだけ5~6席の店に連れていってくれた。
 ピッコロだけでなく、カレーの専門店はいくらでもある。また、とんかつカレー発祥の店をうたう洋食屋もある。カレーうどんの有名店もある、勤め人にとっては、カレー屋さんは昼ご飯のローテーションの欠かせない店になっている。
 日本料理のカレーの専門店は、インド料理のカレー専門店とは全く違う。味が違うだけだはない。日本カレーの店は、だいたいカウンターだけだ。値段は500~800円で、1000円を超える店に出会うのは、20年に1度くらいのものだ。
 ルーとご飯は絶妙なバランスで、食べ始めはルーをセーブしながらご飯と合わせるので、最後はルーがたっぷりになるようにセットされている。薬味は店によって違い、イカの塩辛「滞在時間は10分がメド」は、客の共通認識になっている。
 インドカレーはたいてテーブルで食べる。ルーは余るが、ルーが小さな入れ物に入っていて、ドバっと大量につけて食べにくいからだ。店内にはインド音楽が流れ、ひょっとすると、レッドスネークが顔を出すのではないかとの思いにかられる。シシババブーなどのセットを頼みたくなり、そうすると1000円を超えることがある。チャイかラッシーがついているので、「滞在時間は30~40分がメド」と、客は落ち着いている。
 日本カレーは薬味がバラエティーに富むが、インドカレーの場合はルーの具そのものの種類が多い。肉類のほかに、野菜がメーンの具として登場する。例えば、ヒヨコ豆だ。
 日本カレーではありえない。豆は豆料理のジャンルから出てはいけないのだ。そう思い込んでいたら、スーパーでカレー用のヒヨコ豆として、蒸したものを売っていた(もしかしたら、煮たものだったかもしれないが)。
 あいびきミンチと千切りのタマネギをフライパンで炒める。そこに買ってきたヒヨコ豆1袋を加え、水、だしの素、砂糖少し、しょうゆ少々で煮た後、カレーのルーの1山分で煮込む。とろみが強くなれば完成。
 ご飯にかけて食べてもいいが、ご飯なしのおかずとして食べることにする。名前もカレー煮とした。日本カレー好きの僕としては一線を踏み外さないのだ。(梶川伸)

更新日時 2017/09/19


関連地図情報

関連リンク