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編集長のズボラ料理(237) 豆腐とウズラの卵のチーズ焼き

好みでしょうゆを使ってもいい

 ウズラの卵は何のためにあるのだろう。ふと、そう思うことがある。
 ウズラの卵はどうも影が薄い。ウズラの卵料理なるものを思いつかない。あの小ささだから、主役級は無理だ。では、脇役のレベルで考えてみた。思いついたのはざるソバだった。
 ザルそばの場合、ウズラの卵はつゆに入れてかき混ぜ、ソバをつけて食べる。僕はソバを食べる機会は多くないのだが、そんな風に思い出す。
 ウズラの卵は小さい割に、殻がしっかりしていて、しかも内側の薄い皮も切れにくく、割るのに手間取ることがある。さらに、そばちょこに割り入れても、だしとはすんなりとは混じり合わない。それならなぜ、わざわざ割り入れるのか。そんな疑問と不信感に取りつかれていているためか、ざるソバというと、ウズラの卵がセットとして浮かぶ。
 しかし、最近はその2つの組み合わせは減っているように思う。値段の高い気取った店では、ウズラの卵はあまり見ないような気がする。福井県武生市でおろしソバを食べた時も、ついてはいなかった。一方で、兵庫県の出石(いずし)ソバを食べた時には、普通の卵だったように思う。ウズラの卵はどこにいったのだろう。どんどん影が薄くなっている。 
 スーパーでウズラの卵を買うために、卵のコーナーに行く。普通の卵は白玉と赤玉があり、それぞれいくつかの銘柄がある。10個入りパックが中心だが、6個入り、4個入りも並んでいる。さらにほぼ毎日、安売りの商品がある。卵はスーパーの花形の1つである。
 それに引き換え、ウズラの卵は影が薄い。卵売り場の隅に、10パックほど置いてあるだけだ。だから時には、見過ごしてしますこともある。
 探し出して買って帰った場合、ザルそばのように生で食べることは少ない。たいていはゆでて使う。当然、殻をむくのだが、小さいうえに殻が固いので、案外面倒くさい。生の場合と同じなのだ。
 だから、最近にゆでたものを買う。ゆでたものは缶詰め売り場にある。缶に入ったものと、ビニール袋のものがあるが、たくさんの缶詰めの中では目立たない。
 コンビニの成城石井が、ゆでて味をつけたウズラの卵を売り出した。久々に脚光を浴び、最初は入り口近くに山積みされていたが、そんなヒット商品も最近はまた店の奥に引っ込んでしまった。
 そんなウズラの卵を使う。木綿豆腐を水切りして、厚さを半分にするように切る。1丁を4つにするくらいの大きさが使いやすい。上面にスプーンで半球型の穴をいくつか掘る。ゆでたウズラの卵を半分に切って、その穴に埋める。穴には小麦粉を水で溶いたものを軽く塗り、卵が外れにくいようにしておく。豆腐の裏表にクレイジーソルトをふる。フライパンにオリーブオイルをひき、豆腐の両面を焼く。卵の面を上にして、とろけるチーズを乗せ、ふたをして蒸し焼きにし、チーズを溶かす。好みで周りに少し、しょうゆを落としてもいい。
 皿に盛ると、ウズラの卵はチーズの下に隠れている。やはり、影の薄い存在にしてしまったか。(梶川伸)2017.01.11

更新日時 2017/01/11


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