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ちょっと味見を(478) すずめ小鯛

すずめ小鯛

 毎日新聞の社会部にいた若いころの話だ。宿直になると、朝刊の仕事が一段落すると、午前2時前から焼く時間、ビールを飲む習慣があった。午前3時に各新聞社が朝刊を交換し、それを見てから寝るので、その間の時間つぶしだった。
 ビールにはつまみがいる。日曜日などは、昼間にデパートの地下で調達した。その役割は宿直メンバーの1番若い記者だった。先輩記者は、買ってきたつまみ見て、後輩記者のセンスを試すようなところがあった。私はしばしば、福井県の小鯛のささ漬けか、熊本県のからしレンコンを選んだ。
 アパートのお隣さんに、福井県小浜市の「かぎ孫 すずめ小鯛」を土産にもらった。小さな樽に、中骨を取った小さなタイの半身が詰めて押してある。コブじめにもなっていて、ササの葉も入って香りもがあり、自然のうま味に包まれている。久し振りに若いころの真夜中の職場を思い出した。(梶川伸)2016.06.06

更新日時 2016/06/06


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