このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(140) ホウレンソウとベーコンのサラダ

ベーコンはカリカリに焼くのが普通だが、僕は柔らかさを残す

 うちのそばに、近商ストアというスーパーがある。店に入ると、音楽が流れている。
 ♪今日は この一言を 今日はどなたに届けよう……
 この音楽が聞こえると、なぜか心の中で口ずさんでしまう。やがて、前奏部分が流れるだけで、あごを上げたり下げたりしてリズムをとり、歌い出しを待つようになる。そうなると、買い物モードに入ってしまう。パブロフの犬である。
 ハム、ソーセージ売り場に行く。すると一時期、別の音楽が流れていた。
 ♪御殿場生まれの、ごてあらポー。
 これは解説しないと分からないだろうなあ。僕も理解するまで、4~5カ月はかかった。マチゴトの職場に静岡県出身者がいたので良かったが、いなければモヤモヤとした疑問を、一生持ち続けたかもしれない。その彼によると、次のようになる。
 「ごて」は御殿場。「あら」は荒びき。「ポー」はポークソーセージ。完成形で書くと、米久(ようねきゅう)の、御殿場生まれの荒びきポークソーセージとなる。
 何のこっちゃ、と思うだろうが、静岡県では常識で、知らない人はモグリだそうだ。なぜなら、静岡県のテレビの天気予報のスポンサーが米久だからだ。関西で天気予報はヤン坊とマー坊だった。つまり米久は静岡のヤンマーなのだ。
 ごてあらポーが聞こえると、どうしても立ち止り、米久製品の売り場を物色する。パブロフの2匹の犬である。そこでよく買ったのは、切り落としの厚切りベーコンだった。
残念ながら、いつの間にか、過去形になってしまった。音楽は消え、製品もなくなってしまった。条件反射がないというのは、寂しいものである。
 随分昔、パスタの店で、ホウレンソウのサラダを食べたことがある。それまで、ホウレンソウといえば、ゆでて食べるか、炒めて卵でとじるか、それくらいしか知らなかった。だから、とても新鮮に感じた。それから、家でもやるようになった。米久のベーコンも使って。
 ホウレンソウは生のまま、適当な大きさに切る。サラダ用ホウレンソウがあれば、癖がないのでその方が良い。それをボールに入れておく。ベーコンは小さな短冊形に切る。オリーブオイルを軽くフライパンにひき、スライスしたニンニクも入れ、ニンニクオイルにしてから、ベーコンを炒める。ホウレンソウの上からフライパンの油も一緒にしてベーコンをかけ、コショウをふって、軽くかき混ぜたら出来上がり。
 これを作ると、ワインを飲みたくなる。初体験がパスタの店だったっからだろう。パブロフの3匹目の犬である(梶川伸)2015.08.07

更新日時 2015/08/07


関連地図情報

関連リンク