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編集長のズボラ料理(135) 大葉の塩もみ

塩コンブ、ミョウガのほか、好きななものを混ぜる

 毎日新聞旅行の遍路旅の先達(案内人)をしている。1月に1度、1泊2日で四国霊場を回る。
 僕が計画を立てるこの遍路は、ちょっと変わっている。良い遍路道は歩き、あとはバス移動をする。虫のいい遍路かもしれない。
 88もの寺を巡るので、さまざまなツアーの中には、寺の滞在時間の少ないセカセカ遍路もある。しかし、僕の計画したツアーは、寺で長めに時間をとり、参加者をせかさない。そのうえ、寄り道もして、四国のいい場所を見たり、地元の食べ物を昼食に選んだりする。
 通常のツアーなら昼食は、参加者の好き嫌いのことを考えて、幕の内ようなアラカルト料理にする。1つの食べ物に限ると、それが嫌いな人は食べることができないからだ。
 僕の場合、一発勝負に出る。徳島ラーメンとライス、シラス丼、骨付き鳥とおにぎり、鍋焼きラーメンといった具合に、一品ものを設定することもある。だから、食べてもらえるかどうか、いつもドキドキである。
 時には失敗もある。「しいたけ侍」というネーミングのシイタケを使った「シイタケ丼」を用意したことがある。僕はガツガツ食べたのだが、「あれはいかん」と何人もから言われてしまった。
 そんな状況だから、僕らの遍路旅はスピーディーさには欠ける。良く言えばゆったりした遍路だが、悪く言えばダラダラ遍路でもある。だからなのか、参加者の年齢層は高く、そのため行動のスピード感はさらに落ちていく。
 変な遍路だが、良い点は食べ物には不自由しないことだ。年配層が赤いので、食べることを楽しみにしている人が多い。特に女性はその傾向が強い。家からお菓子を持って参加し、バスの中で回す。添乗員は毎回、集まったお菓子を回すが最初の仕事になる。道の駅に寄れば、果物を買っては、バスの中に回す。
 最初から最後まで食べっ放し状態といっていい。遍路旅は「空海」でなく「食う会」の様相を帯びる。毎回の遍路で、たいていの人は1キロから2キロ太って帰る。参加者の1人は、帰宅すると翌日からジムに通い、体を絞って、次回の備え、ボクシングの選手のような減量に取り組む。遍路よりも、その方が修行なのではないか。
 手作りの品を持ってくる人もいる。イカナゴのくぎ煮、漬け物、大葉の塩もみ……。これらは夕食に回る。食べながら、作り方を教えてもらう。そして家で作ってみる。僕も、大場の塩もみを作ってみた。
 ボールに大葉をたくさん入れる。塩をふって、手でよくもむ。あくが出るので、水荒いする。これを3~4回繰り返す。水荒いしたあと水分を切り、細い短冊に切って、塩コンブ、ミョウガを混ぜ、少し白しょうゆをたらす。
 もみ過ぎたせいか、手がヒリヒリした。そのことを、教えてもらった人に話すと、「オーバーな」と笑っていた。(梶川伸)2015.07.29 

しいたけ侍 しいたけ侍 徳島ラーメン

更新日時 2015/07/29


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