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編集長のズボラ料理(113) イカの練りウニつけ焼き

適当に切って皿に盛る

 最近の調理器具は、機能がどんどん進化している。安全で便利になっているわけだが、それが僕には困る。
 例えば、電子レンジを買い替えた。チーンをする時に、ラップをかける必要がないと書いてある。長年、チーンとラップは切っても切れ外せないと思ってきた僕にとっては、衝撃である。
 そんな折に福引きで、レンジ対応のプラスチック容器が当たった。温めるものを中に入れて蓋を閉めて使うようだ。しかし、ラップがいらないというのであれば、蓋を閉めてはいけないのではないか。途方に暮れる。
 ガスコンロを買い替えた。コンロ部分が2つあり、魚焼きオーブンが内蔵されている、ごく普通のタイプである。ところが、古いものと違う部分があった。コンロの中心に上下に動く棒がついている。これが鍋やフライパンの底に触れ、それで火を大きくしたり小さくしたり、調整しているようだ。
 しかし、どうなったら、どうなるのか。つまり、どういう状態になったら火力が変わるのか、僕にはさっぱりわからない。通常はそれでも何とかなっていた。ところが、問題はスルメをあぶる時に起きた。
 酒といえば、つまみはスルメがいい。北海道・釧路湿原でストーブ列車に乗った時も、石炭ストーブの上でスルメをあぶり、雪を見ながら、缶ビールを飲んだ。もの足りないから、ワンカップの酒も飲んだ。
 わが家には石炭ストーブがない。だから、ガスコンロを使う以外にない。雪のないから、テレビをつけて、アナ雪の歌が流れるのを待つくらいしかない。それでも、スルメがほしい。
 スルメをあぶる。うちの網は、下に底がついている二重構造のものだった。コンロの上に置いて、火をつけた。スルメを乗せると、火はごく弱火になる。それではスルメは焼けない。
 網をコンロから外してみたり、1回火を消してみたり、何やかややって、何とか火が大きくなり、これで大丈夫と思ったとたん、またトロ火になる。何回か同じ過程をたどったあと、僕はあきらめた。それ以来、スルメを網で焼くことはない。ついでに、網も捨ててしまった。我ながら、スパッとしている。
 しかし、うちの前のイオンでは、スルメを山積みにして売っている。厚みはないが、値段は安い。つい、手が出る。あきらめが悪く、スパッとしていない。
 網が使えないから、采箸でスルメをはさみ、直接火にかけ、動かしながら、裏表をあぶる。これ、結構大変。ただ、網が使えない分、僕は次々と技術を習得している。
 足を取り除いてあって、開いてある大きめのイカを用意する。瓶詰めの練りウニを片面に塗り、両面を焼く。僕の場合は網がないから、ガスコンロの魚焼きオーブンを使う。
 困難に直面する。ウニを塗った面を上にして焼くと、丸まってしまう。次に裏面を上にするのだが、丸まったものをどうするか。大丈夫、僕には身に着けた技術がある。丸まった1番内側の先端を、網部分の棒に引っ掛ける。そうしておいてイカを伸ばし、1番外側の先端も棒に掛ける。そうして焼くと、平たいできあがりになる。イカは適当に切って食べる。(梶川伸)2014.12.31

編集長のズボラ料理

更新日時 2014/12/31


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